30年に渡る「すべて本」史上において、「新型スバルBRZのすべて」はある意味「最速」だと思います。何しろ、クルマ本体が発売される50日近く前に、発刊されているのですから!もっとも、発表から発売まで2ヶ月近く離れていること事態、そもそも例外なのでしょうね。
さてさて「最速」といえば、これまでスポーツカーの尺度は「最速=最良」という「速さ至上主義」でした。買い手も作り手も、馬力やラップタイムが一番わかりやすかったからでしょう。でもあまりの過当競争の結果、スポーツカーは性能もサイズも価格もエスカレートしてしまい、逆に公道では流して走るしかない程、浮世離れしてしまいましたね。
そんな中、新型スバルBRZ(と兄弟車のトヨタ86)では、公道でもサーキットでも「操る楽しさ」を享受できるクルマを目指して開発されました。クルマの走りの素性は、パッケージングで決まります。企画開発は、いかにしてNA2000cc水平対抗エンジンを、低く下げて運転席側に後退して登載し、超低重心FRを成立させるかに終始したそうです。
サーキット試乗のインプレッションでは、BRZのリニアでコントローラブルな走りっぷりが綴られています。
ドライサーキットの高Gコーナリング時のロールの小ささや、そのピークに至るまでの過渡的特性のリニアさ。そして、ウエット路面でのトラクション能力の高さやブレーキング時の前後輪の制動バランスの高さなどは、サスペンションなどのチューニングだけでは達成できないものであるはず。また、素直で軽快な回頭感やドリフトコントロールの容易さなども、単純に「FRレイアウトの持ち主だから」などという理由からだけでは得ることのできない、“BRZならではの素性の良さ”がもたらした独自のテイスト。
コーナリングの最中にその先の“軌跡のシナリオ”をアクセルワークひとつでいくつも描き出していけるという点に関しては、このモデルは日本車の中でも随一のポテンシャルの持ち主と断言できる。このドライビングの自在度の高さこそが、BRZの最大の武器なのだ。
また表題が「沸騰するアドレナリン」と付けられるほど、乗り手の脳細胞とクルマの挙動がリニアに繋がるトヨタとのタッグで生まれたボクサーFRスポーツ・スバルBRZを、一日も早く体感したいと思う今日この頃です。