昨年にお伝えした『フォルクスワーゲンが今秋、世界販売でトヨタを抜く!?』の記事が掲載当時に予想を超える反響が有ったので、今回改めてその後の顛末がどうなったのかを検証してみました。すると興味深い事実が判明。
2012年1月下旬のニュースによると、昨年の世界販売台数第1位は902.6万台の「GM」、2位が「VW」の816万台、3位が795万台と振るわなかった「トヨタ」という事になっています。
2010年度まで3年連続で世界第1位だったトヨタが振るわなかった理由は下記グラフのとおり、3.11大地震による東北の電子部品サプライヤ被災、及び生産挽回途上で発生したタイの洪水がその主要因。(横軸が各月)
先回の記事では「10月頃にVWに抜かれそう・・・」としましたが、再検証した結果、実は震災直後に既に抜かれていました。これは先回のシミュレーション(下グラフ)でグループ企業分を除くVW単独のデータを使ってしまったのと、販売台数を年末締めでは無く、期末締め(3月末)で予測していたことが原因です。
この世界販売台数首位争奪戦、これでは終わらずその後波乱含みの展開に。
と言うのも、GMが年初に世界1位奪回宣言した直後、VWから何と「待った」の声が。
VWの主張によると、GMの発表値には子会社ではない中国現地合弁会社の商用車100万台分が上乗せされているとの指摘。同じ土俵に乗せればGMは803万台程度となり、VWの方が上だと主張。加えてVWは子会社の商用車分の約20万台分を計上すれば836万台となり、我こそが世界第1位だと。
更に1月末には日産・ルノー アライアンス組が802.6万台を販売したとして世界第3位を宣言。但しこれはルノーが25%出資するロシアの自動車大手、アフトヴァズ社の販売台数63.7万台分を取り込んでいる模様。
何やらややこしい様相に。だとすると、トヨタは3位から更に4位に転落・・・
これを踏まえてトヨタは2月3日、2012年度世界販売について前年比21%増の958万台を計画していると発表。今年度に一気に巻き返しに出るという意思表示をした訳です。
このように各メーカーの世界販売台数にはグループ企業の販売台数分が加算されている為、実に判り難いものになっているのです。以上を元に世界販売台数を精査すると下記グラフとなり、これが2011年度の実態と思われます。
実質、第4位と思われるトヨタの背後には韓国のヒュンダイがジリジリと迫ってきており、予断を許さない状況。上位各社が僅差で戦っている様子が改めて浮き彫りになって来ました。
VWが昨年、技術提携先であるスズキを配下に収めて一気に上位へ躍り出ようとしたフシが有りましたが、スズキから反撃を食らって提携解消騒ぎへと発展するなど、今や各社が世界販売台数第1位の座を狙って激戦状態。
しかし、忘れてもらっては困るのはユーザーの関心事は企業間の販売台数競争などでは勿論無く、商品そのものに魅力が有るかどうかの一点。ユーザーサイドに立った競争ならどんどんやって下さいといったところでしょうか。数値は後から付いて来るものなのです。
こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2011/07/16/42619
(Avanti Yasunori )
【画像がすべて見られない方は>>> https://clicccar.com/113334 】
<外部リンク>
http://www.volkswagen.de/de/models/polo.html
http://www.chevrolet.com/volt-electric-car/
http://www.nissan.co.jp/MARCH/index.html
http://toyota.jp/aqua/index.html
http://worldwide.hyundai.com/showroom/passenger-cars/elantra-gallery.html