トヨタ86(ハチロク)の競技ベースモデルRCがハイギアードな理由とは?

トヨタ86(ハチロク)、燃費を気にするようなキャラクターのクルマではないでしょうが、そのラインナップ中でもっともカタログ燃費に優れるのは、じつは競技ベースと位置づけられ未塗装のバンパーもスパルタンな「RC」。

 

そのJC08モード燃費は13.4km/L。同じエンジン、ミッションだと考えると上級グレードの12.4km/Lと比べてかなり優秀な燃費性能ですが、そこにはふたつのヒミツがありそうです。

 

ひとつは軽さ。

ご存知のように、RCグレードはエアコンなどを省くことで軽量化を徹底して1190kgと軽量に仕上がっているのは、運動性能だけでなく燃費にも効果的。ちなみに、燃費計測はエアコンはオフで行なうので、エアコンを装備していようがいまいが、使わないのはいっしょ。重量の違いがポイントです。

 

そして、もうひとつがファイナルギアの違い。ほとんどのグレードで4.100という減速比となっている86(ハチロク)ですが、このRCとGの6速MTという2グレードだけは”3.727”とハイギアードになっているのが燃費に効いてきます。

 

しかし、不思議なのは加速に有利なローギアードではなく、あえてハイギアードを競技ベースグレードに採用している点。トヨタのスタッフは「サーキットでは、このギア比がマッチすると考えています。またモータースポーツでは必要に応じて使い分ければいいのでは」といいます。富士スピードウェイのような高速サーキットを前提としているのでしょうか?

 

とはいえ、レギュレーションによってはラインオフ状態からギア比の変更が不可ということもあり、できれば選択できるようにして欲しかったというモータースポーツユーザーも少なくないことでしょう。

 

なお、Gグレードの6速MTでは、標準が3.727、オプションのトルセンLSDを選ぶと4.100になるという仕様なので、このグレードで発注時にベターの選択をするというのが現実的といえそうです。

 

(山本晋也)

 

 

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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