ミニキャブMiEVの最高出力が低いのは航続距離を稼ぐためだった

 

旧聞という印象もありますが、昨年11月に発表されたミニキャブMiEVとi-MiEVの違いについて。

 

同じモーター、バッテリーを使っていても最高速の性能が異なることはすでに記したとおりですが、上位グレードにおいては最高出力の数値も異なっている理由について、あらためてお伝えしましょう。

 

総電力量16kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載するi-MiEVの上位グレード「G」のカタログスペックを見ると、モーターの最高出力は47kWとなっていますが、ミニキャブMiEVで同じ16kWhのバッテリーを積むグレードの最高出力は30kW。

 

リア・ミッドシップに搭載されているモーターやインバーターなど外観からは、まったく同じように見えるのに、最高出力が1.5倍も異なるのはナゼでしょうか?

 

その疑問をぶつけると、MiEVプロジェクトに関わる河村信介氏は「シンプルにいえば航続距離を稼ぐためです。出力をあげると、どうしても航続距離が短くなってしまいます」と答えてくれました。

 

最高速が低いことからもわかるように、ミニキャブMiEVはローギアードな設定となっているため、ただでさえ航続距離には不利。そのために総電力量の大きいバッテリーを積むグレードにおいてもモーターの最高出力を抑えることで、航続距離を稼ぐようにしているのだとか。

 

それでも同じ16kWhのバッテリーのグレードで比較するとミニキャブMiEVの航続距離(JC08モード)が150km、i-MiEVが180kmと優勢なのは、ギア比の違いが大きいそう。

 

なお、バッテリー総電力が10.5kWhのグレードでは、ミニキャブMiEVとi-MiEVともに30kWの最高出力とされていて、航続距離はそれぞれ100km(ミニキャブ)、120km(i)となっています。

 

ちなみに、i-MiEVの10.5kWhバッテリーのグレードで、最高出力が抑えられているのも航続距離のためだとか。逆にいうとi-MiEV Gグレード(16kWh)の47kWというモーター最高出力は、かなりギリギリまでパワーを引き出した設定ということ。

 

こうした航続距離と最高出力のトレードオフ的な関係、電気自動車が増えていって、グレード間の違いなどで見かけるようになってくると、購入時の検討要素として、かなり気になる要素になっていきそうです。

 

 

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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