スマート・エレクトリックドライブを300台購入した大口顧客の正体は?

 

夕闇のサンディエゴ、ズラリと並んだスマートfor twoエレクトリックドライブ(電気自動車)。

 

日本での一般ユーザーによる実証実験が行なわれたので、知っているひとも多いでしょうが、ダイムラーグループのスマートが2人乗りコミューター「スマートfor two」をベースに仕立てた電気自動車が、このクルマ。

 

しかも、ここに並んでいる数十台のスマート・エレクトリックドライブはごく一部。なんと300台が一気に納められたのだそうです。

いくら化石燃料を使わない電気自動車が流行っているからといって、これだけの台数を一度に買ってしまうというのは、どんなユーザーなのでしょうか? もちろん個人ではありえませんし、ビジネスユースにしても二人乗りのスマートfor twoでは宅配にもタクシーにも使えないのに……。

 

 

この300台というスマートが活躍するのは、カーシェアリングサービス。

ちょっとクルマが使いたいときに便利な近距離中心のシェアリングはせいぜい1時間程度の利用が見込まれているので、電気自動車の航続距離は問題になりません。その上、カーシェアリングでは駐車場所が決まっていますから充電設備の確保もしやすく、逆に給油をしなくて済むという面ではカーシェアリングサービスと電気自動車の相性はよいといえるでしょう。

 

そして、300台のスマート・エレクトリックドライブは、2011年11月18日からはじまった全米初の電気自動車だけのカーシェアリングサービスに納車されたもの。とはいえ、このサンディエゴにおけるカーシェアリングサービスを運営しているのはダイムラーグループのcar2go( http://www.car2go.com/ )ですから、スマート・エレクトリックドライブ以外の選択肢はないのでしょう。

 

それにしても、300台というボリュームで、24時間365日・年中無休というカーシェアリングサービスが、果たしてどれほどクルマ社会を変えるキッカケになるのか。サンディエゴから始まる都市モビリティの未来に注目しましょう。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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