フェアレディEVで耐久レースに参戦しました!

先日(11月3日)に筑波サーキットで開催された「第17回日本EVフェスティバル」に、ダットサン・フェアレディを改造した「JFEスーパーラピダス対応EV」のドライバーとして参加しました。

SR311型のダットサン・フェアレディを改造した「JFEスーパーラピダス対応EV」とは、文字通り、JFEエンジニアリング社が開発した次世代型EV超急速充電器「スーパーラピダス」のプロモーション用に製作された車両です。車両設計製作に携わったのは、ボルトオンEVで話題のオズコーポレーションです。

ちなみに次世代型EV超急速充電器「スーパーラピダス」は、充電器側に蓄電池を備えることで、従来と比較にならないほど短い時間での充電を可能とするものです。このフェアレディの電池積載量は11kWhと少なめなので、わずか3分で80%までの充電が可能。とにかく充電時間が短いっていうのが特徴なんですね。

そんなJFEエンジニアリングのフェアレディEVが「第17回日本EVフェスティバル」の「英雄59分ディスタンスチャレンジ」(いわゆる59分の耐久レース)に参戦しようとなりました。そして、たまたま取材で面識のあった僕がドライバーになると決まったのです。

そうと決まれば準備が必要です。まず、このフェアレディEVはクルマができた後、展示会などに引っ張りだこで、ほとんど走行テストができていませんでした。タイヤがノーマルよりも大きいので、速度メーターの誤差もあります。また、電池の残量を電圧で見るのですが、走行距離と電池の減る具合の関係性もノーチェック。まあ、充電器のプロモーション用ですから、走行テストなんて必要ありませんですものね。

ですから、レース前にメーター(速度と電池残量)チェックの試走を行いました。昨年のリザルトを見て、耐久レースでのスピードは平均時速50kmほどと想定していましたので、試走は信号のある街中を普通に流して。その結果、59分で走るであろう想定周回数(最高でも25周だろうと予想)の距離、約50kmはクリアできることを確認。レースでは無理をしなければ完走はできる! という手応えを得ることができました。

とはいえ、普通のサーキット走行のようにアクセル全開&フルブレーキングの繰り返しを行えば、電池容量に余裕があるわけではないので、きっと想定走行距離を走りきることはできません。アクセルはジワジワと、ブレーキは最小限に。なるべく惰性で走る&惰性で減速するように走らなければなりません。作戦では、前半で抑えめにして電池の減る量を確認し、余裕が認めればペースアップとしました。

 

 

走行前の車検中

そして、いざスタート!

スタートと同時に、僕たちの何倍もの量の電池を積んだマシンが、ものすごい勢いで抜き去ってゆきます。それでも、慌てずにメーターの表示される使用電流量を睨みつつ、アクセルをジンワリと踏み込みます。

実際に走ってみると、大きく減速しなくてはいけないのは、2つのヘアピンと規定速度を時速45kmに設定されたメインストレートの前の3か所。そこでブレーキを踏まないよう、ずっと手前からアクセルを抜いて、惰性でスピードを殺すように走ります。すると、裏のストレートでも後半の3分の1ほどでアクセルOFFにしないといけないんですね。つまり、案外とアクセルを踏める区間が少なく、短い区間でしっかり加速しないといけません。

コース上には27台ものマシン。しかも、速いマシンはとことん速いのですが、逆にとことん遅いマシンも。さらにスピンやトラブルでストップするマシンもいます。もう抜いたり、抜かれたり。まわりのマシンをしっかりと見ていないといけないし、同時に電流や電池の残量のメーターも確認しないといけない。メインストレートに戻ったら、チームに無線で電池の残量を報告。本当に、キョロキョロと忙しいレースです。

前半で電池の減る量をチェックしたところ、もう少しペースを上げてもよいことが判明。後半は、ちょっとアクセルを踏む量を増やします。前半の1周2分20秒ほどから、10秒アップ。そして、22周を走りきったところでチェッカーを受けました。目標は「無事に完走」でしたから、オーダーは無事クリアです。クラス順位は12台出走中の7位でした。

思い切り飛ばしてタイムを削り、ライバルとデッドヒートを繰り広げるのもレースですが、マシンの性能を使い切るように頭を使い丁寧にドライブするのも、またレース。これはこれで、非常に楽しいレースでしたよ!

<鈴木ケンイチ>