先日、トヨタのグループ企業である関東自動車・セントラル自動車・トヨタ自動車東北の3社を2012年7月頃を目処に統合して「トヨタ自動車東日本株式会社」にする、という発表がありました。
名前からして東日本大震災からの復興へ強い思いが込められていると感じる向きも少なくないでしょうが、この新会社には、トヨタの命運がかかっているともいえます。
三社統合に先立って発表された『東北復興支援への取り組み』において、この統合によって生まれる「東北」拠点は以下のように位置づけられているのです。
今後、「東北」は、コンパクト車に専門性を持つ「第3拠点」として、車両の開発から生産まで、一貫して行う自立的な生産拠点としていく。その中でエンジンなどユニットや部品の生産・調達も行っていく。
また、コンパクト車強化の具体的な取り組みとして、トヨタの環境車のなかでも主力の一つとなる新型車「スモールハイブリッド車」を東北で生産する。
言わずもがな、この次世代の主力として期待されているスモールハイブリッド車こそ、いま話題の新型ハイブリッドカー「アクア」に他なりません。
そして生産を担うのは、ベルタやオーリス、イストを作っている現・関東自動車の岩手工場といわれています。
また関東自動車といえば、1960年代の名車といわれる「トヨタスポーツ800」の開発・生産を担ったことでも知られているわけですが、そのトヨタスポーツ800をベースにガスタービン・ハイブリッドカーが開発されていたことも、またマニアには知られているところ。
そのトヨタスポーツ800ハイブリッドの末裔として、新型のスモールハイブリッド「アクア」が関東自動車から生み出されるというのは、なんという偶然でしょうか。
そうした歴史的背景と、この未曾有の震災からの復興というタイミングで生まれるというのですから、まさに東北のモノづくり復興のシンボルに位置づけられたクルマ、それが「アクア」といえそうです。
(山本晋也)