2000年にスタートしたネッツカップ・ヴィッツレース。日本初のナンバー付き車両によるワンメイクレースは敷居の高いレースをより身近な物としてくれて、これを足がかりに上を目指す人や、趣味として長くレースを楽しみたいという、多くのエントラントでにぎわうカテゴリーとなっています。
実はハイパーミーティングが開催された9月4日には、富士スピードウェイのコースではヴィッツレース関東シリーズ第3戦が行なわれていました。そのエントリーリストに気になる名前を発見。デパマン石渡? 何とも不思議なエントリー名です。
そこで早速、レース終了後に本人にインタビューを申し込んだら即OK! お話を伺ってきました。
このデパマン石渡さん、実はこの世界では有名人で、2003、07年にはヴィッツカップ関東シリーズのチャンピオン、そして08年にはF1GPのサポートレースとして行なわれた日本一決定戦でも優勝を遂げるなど、ヴィッツ使いとして名を馳せた方なのです。また09年にはスーパー耐久にも参戦。そこでデパマンの意味は? 早速本人に登場してもらいましょう。
「デパマンの意味は単純にデパートに勤務しているからです。新宿高島屋の和洋菓子売り場に勤務しています。話題になればと思ってこの名前にしました」。なんとも理由はわかりやすいが、ということはサラリーマンということですか?
「はい、会社員です。今日はネッツ群馬FK光生μvitzのドライバーですが、普段は売り場のシニアマネージャーをやっています」。つまり普段は会社員として働いて、レース開催時だけレーサーというアマチュアドライバーというわけだ。1971年生まれの石渡さんは今年40歳。お子さんも2人いるという。果たしてどんな経緯でレースに参戦、レーサーを続けているのだろう?
「これはもう縁としかいいようがありません。レースをやっていてたまたま04年に現在のネッツ群馬さんからお声がかかって、アルテッツアのレースに参戦できるようになったのです。そして今年はヴィッツレースに参戦しています」。
ということはプロのレーサーを目指していたのだろうか?
「いえ、実は元々は高校球児でした。子供の頃からずっと野球をやってきて高校3年生で引退しました。そこで自動車免許を取得するのですが、兄貴がCR-Xに乗っていてジムカーナをやっていたので見に行ったのです。それまでは得にクルマ好きでもなかったのですが、影響されて自分でもやってみようと思ってジムカーナを始めました。そしてある時筑波のジムカーナコースで練習していたら本コースでレースをやっていて、こっちもおもしろそうだと思い、K10マーチでレースを始めました。そうして続けているとだんだん上手くなっておもしろくなるじゃないですか。そこでAE86シリーズ、2002年からヴィッツレースにステップアップしています」。
ところでデパートというと休日は休めないイメージがあるのだが、仕事との両立は大変ですよね。
「これはもう普段の仕事を一所懸命にやるしかないです。レースと練習以外は本当に真面目に勤めていますし、レースのないときは家族サービスをがんばります。それしかないと思います。もしかしたらこうしたことで悩んでいる方がいるかもしれませんが、わたしは会社にきちんと話をして解ってもらうのが一番良いと思っています。それに会社の同僚も応援してくれていて、今日も何人も応援にいてくれています。これはものすごい励みになりますね。それにレースは日頃のストレス発散になりますし、会社の外で同僚とレースを始めいろいろな話をするのも仕事の上で役に立っています。レースをすることで仕事にも良い影響があると感じています」。
仕事と両立を図りながら、子供達に親父が一所懸命にがんばっている姿を見せたいと語る石渡さん。次回はヴィッツレースの魅力について語ってもらいます。
(佐藤みきお)