海外仕様との組合せで、新しい個性を演出するのがフィット流です【新型ホンダフィットシャトルのすべてを読んで/デザイン編】

「えっ、エアウェーブ後継じゃないんだ?」という声が、デザイナーさんから聞こえてきそうです。最初の頃は、フィットとは異なるデザインを描いていたそうですから。

スモールカーのカジュアルワゴンを目指したエアウェーブに対し、今回のフィットシャトルは車格を上げて5ナンバーワゴンの本命になるべく企画されました。

でも、フィットシャトルはフィットの派生車種なので、キャビンやドア、ホイールベースは共通です。そのためフロントとリアのデザインで、フィット・ファミリーを感じさせ、ワゴンの荷室容量を確保して、しかも車格を上げつつもコストは掛けない!という命題を成立させなければならないのですから、悩ましい~。

まずフロントですが、フィットとは顔付きが似て非なる感じがします。新たに型を起こしたかと思いきや、実は面長な米国フィットのマスクを採用しているのだそうです。ワゴン化で伸びたリアとのバランス取るために、フロントも伸ばしたとの事。

そういえば標準フィットでも、海外仕様の足回りを採用して性格分けをしていましたよね。どうやら海外仕様との組み合わせで個性を演出するのが、フィット流と言えそうです。
そしてその結果、差別化とコストが両立出来るのですから、この手法はグローバルモデルの特典かもしれませんね。

一方、リアのワゴン部分は、フィットシャトルのオリジナルデザインです。実際、リアオーバーハングは結構長いのですが、お尻の長さを感じないのはさすがに上手いと感じます。
またエアウェーブは残念ながら一代限りでしたが、フィットシャトルのCピラーには、エアウェーブの面影がしっかり残っています。

インパネも標準フィットと供用ですが、上質感を演出しているのは、まさにデザインの勝利!パネルの色合いを代えたり、ワンポイントのメッキ装飾を効果的に使っています。

今回気の毒なのは、カラー担当の方でした。震災の影響で、急遽フィットシャトルの製造工場が変わったたため、せっかく開発した新色が塗れなくなってしまったそうです。
(°Д°)そんなぁ・・・

生産拠点毎に、塗装色等の様々な制約条件があるのですね。
クルマのデザインと生産は、極めて密接に関わり合っていると改めて実感した次第です。
(^_^ゞ

(拓波幸 としひろ)