2011年4月の自動車販売台数が発表されましたが、統計以来、4月は過去最悪の落ち込みとなっています。
4月に登録されたのは9万7128台で、前年同月比51.0%減というとんでもない状況になっています。この下げ幅は統計を取り始めた1968年1月以降単月ベースで過去最大ということで、クルマが売れていない状況を如実に表しています。
ちなみに軽自動車は7万6849台で、前年同月比58.9%ですが、それでも大きな落ち込み。
関係者の悲鳴が聞こえてくるようです。
そこで気になる要因を首都圏の複数の関係者の問い合わせてみました。
1. 自粛ムードの影響は?
2. 生産停止の影響は?
3. 値引きの拡大は?
4. 下取り価格の上昇は?
5. いつぐらいに正常になる?
まず1ですが、これは多少影響があるものの、概ね改善されてきたそうです。一時期、こんな時にクルマを買うなんて! といった近所の目を気にされる方もいたようですが、これからは経済活動が復興支援といった報道などもあって(現在のセールストークの基本のようです)、現在は下火だとか。ただしご近所関係の希薄な首都圏はそうですが、まだまだ地方に行くとこうした影響はないとはいえず、やはり現在は下火というのが適切のようです。
2に関しましては、影響大ですが、改善も見られます。
通常、商談後にユーザーが希望する仕様は、在庫車に該当するものが概ね7割、オーダーをかける仕様が3割だそうです。ですが震災後は在庫車が4割となってしまい、待ってでも良いからお気に入りの仕様が欲しいというユーザーを発生させています。どうやらこれが登録台数の減少に拍車をかけてしまったようです。
しかし車検に余裕のあるユーザーが早めに動いた場合も増えており、現場では混乱はないということ、数値上は落ち込みがみえるでしょうけれど「受注ベースでは戻ってきています!」という声も聞こえてきます。
ちなみに年次切り替えマイナーチェンジで生産再開が不明な車種もあるようですが、これについてはもう待つしかない! ということです。
3ですが、こちらは拠点でばらつきが大きかったです。
メーカーの資本が入っている日本メーカーの拠点では、値引きの拡大はありません。とのことですが、競合した際、地場資本のディーラーに持って行かれたという話しもありました。
クルマ購入の際には複数のディーラー(資本関係の異なる)で競合するのは当たり前になっていますが、在庫車の状況も含めて販売会社間の競争が激しくなっていることが伺えます。
ちなみに輸入車の場合、在庫車の値引きは拡大中で、まさに買い時といえるでしょう。
4の下取り価格についてですが、上昇安定期ということです。
震災から一ヶ月以上が過ぎ、仙台でサッカーや野球が開催されるなどこれからは復興に入ります。新幹線を始め鉄道が再開するなどインフラも整備されつつありますが、通勤通学も含めて、自動車移動が多い地域でもあります。そこで安い中古車を求める方が多いわけです。
以前にも中古車価格の上昇は、補助金の影響でまだ乗れるクルマが廃棄されたからだと紹介しましたが、これに輪をかけたのが買い換え自粛。中古車の在庫が少なくなると価格が上がるのは当然で、こんな時にクルマを買い換えるなんて・・・、というのが中古車価格を高くしているのは間違いないとか。買い占めはよくないですが、買い控えも同じってことですね。
最後に5ですが、これは驚くほど声が揃いました。
「秋口には正常に戻って欲しいけれど、それは希望であって、実際いつも通りと思えるようになるのは年内でしょう」ということ。
トヨタ・プリウスαの発表は13日に決まりましたが、ホンダ・フィットシャトルの発表は6月になると言われています。また、マイナーチェンジ時期を迎えていた日産キューブなども納車の見通しはたっていないようです。
地震、津波、そしていまだ1万人以上の不明者。そして原発や風評被害など様々な影響があり、どうなるか解らない状況が続いています。
ですが多くの方が「実際に要望のあるクルマでしたら、本当に東北に送っています」とアピールしていした。
クルマの購入は復興支援になる。
これだけは間違いないと感じました。
日本自動車販売協会のサイト
http://www.jada.or.jp/contents/data/ranking
全国軽自動車協会連合会のサイト
(佐藤みきお)