従来の1.4リットルに代えて875ccの2気筒ターボエンジンを導入したフィアット500。
昔のチンクエチェントを知っている人は、往年の2気筒の復活を喜んでいる方も多いようです。実際に走らせたフィーリングも2気筒らしいブルブル感をともなった、独特な吹け上がりを見せてくれます。フィアットの小型車とは珍しく、遮音材が入った立派なエンジンカバーが装着されていますが、エンジンの音も結構大きめです。
2気筒が同時ストロークするので発進直後は振動もそれなりにあり、発進直後はトルクも強力ではありませんが、2000回転ぐらいから上ではターボが効きはじめ875ccとは思えぬほどキビキビと走ってくれ、バランサーシャフトの効果もあり振動も収まってきます。
とはいえツイッターなどのコメントを見ると、昔のチンクエチェントを知っている方は、この振動も「チンクエチェント独特の持ち味だからOK!」と感じている人も多いようです。やっぱりファンの人の懐は深いですね。
でも、この2気筒はただのダウンサイズエンジンではなく、ハイテク技術も導入されています。アルファ・ミトなどで採用されている、バルブリフト量とバルブタイミングを連続で制御するマルチエアを採用して、高トルクと低燃費を両立。欧州でのテストデータでは最高速度173㎞/hで、0-100㎞/hも11秒と意外に軽快です。
このエンジンは従来の1.4リットルよりも23%も短く、10%軽量に仕上がっています。このコンパクトさを活かして、今後はハイブリッド車のベースエンジンに使うことも視野に入れています。
燃費を重視したエンジン制御を行うエコモードや、国産車ほど素早い始動性ではないですがアイドリングストップ機能を備えているので、10・15モード燃費も21.8㎞/Lと軽自動車レベルの実力です。
昔ながらの2気筒と最新のメカニズムを組み合わせたチンクエチェントのマルチエアは、昔のチンクを知っている人も、現行のチンクしか知らない人も、一度は乗ってみる価値のある面白いクルマに仕上がっています。
関連動画
アバルトなどに採用されていたバイキセノンも付きました
(岡島裕二)
【訂正】(3月28日)
「同時爆発」を「同時ストローク」に修正いたしました。フィアット500ツインエアの2気筒エンジンはクランク位相は同じで、爆発は交互に行われます。訂正してお詫び申し上げます。