初代フーガは脱セドリックを掲げて力の入ったモデルで、先代スカイラインから採用された新しいFRプラットフォームを用いたモデルでした。その走りは日本だけでなくインフィニティとして販売されるアメリカでも絶賛でした。
また見た目にはわからなかったのですが、全高も1500mmを越え、頭上空間をはじめとした居住性もきわめて評判は高かったのです。ところが唯一ともいえる欠点となったのがデザインでした。
発表当初は、スポーティでラグジュアリーな上級セダンとして好評だったのです。ところがそれも一瞬で、BMWがはじめた彫りの深いデザインは、メルセデス・ベンツにさえも影響を与えるほど世界的トレンドになってきました。
BMWシンドロームとも呼ばれるもので、その傾向は現在も続いています。そんななかで初代フーガはあまりにも平板な印象となり、ティアナと同等の車格くらいに見えてしまうものになっていました。アメリカ流にいえば、およそV8エンジンを搭載するクルマには見えない、ということです。
ですから2代目フーガのフォーカス・ポイントはここにあるのです。
とにかく、押し出しのあるスタイリッシュなボディにすること。いってみれば、ベンツEクラスやBMW5シリーズに負けない強い存在感を持たせることです。ベンツやBMWの進化以上に進化したデザインとするため、同クラス車の進化を予想しそれ以上の進化幅を持った造形をつくりあげたのです。拡大された全幅は、ほとんどすべてがエクステリア・デザインしろとなり、この情感豊かなボディが生まれたのです。
さてそれでハイブリッドですが、噂によればトヨタの技術陣が仰天したとも言われています。トヨタはFF、FRともにプラネタリー・ギアを用いた無段変速を採用しているのですが、日産方式は既存のエンジンとトランスミッションの間に電動モーターを装備し、エンジンとモーターの間に動力源選択用、トランスミッションとプロペラシャフトの間にエンジンでの発進、ギア変速用の2つにクラッチを持つ構造です。1つのモーターで駆動と発電を行うところも大きな特徴です。
また、バッテリーはリヤサス上に配置され、トランクスペースは少し犠牲になっています。日産としては恥をしのんで(?)トヨタからハイブリッドに関する技術供与を受けたわけですが、まったく違った機構のモデルを世に送り出したわけです。
かなりかっこいいことをしてくれちゃっているんです。
(MATSUNAGA, Hironobu)