京商が1/43スケールのスロットカー「Dslot43」を発売する日も近づき、秋葉原のカフェでもスロットカーができるようになるなど、日本でも再びスロットカーが注目されつつあります。
日本では、スロットカーのブームが1960年代、1980年代、2000年代と定期的に訪れて、栄枯盛衰を繰り返しているのは、知っている人なら知っている有名な話。ブームが20年間隔のため、スロットカーを知らない、走らせたことがないという世代も存在します。
で、日本でなぜスロットカーが定着しないのかというと、その理由のひとつとして挙げられるのが住宅問題です。かつて、ウサギ小屋と揶揄された日本の住宅では、常設サーキットを作るなんていうことは夢のまた夢です。
スロットカーのサーキットは、簡単に組み立ててはばらすことができます。しかし、それができる8の字などの短いレイアウトは単調で飽きますし、長いレイアウトだと楽しいもののその労力は大きなものになります。どちらをとってもデメリットが目立ち、しまいには遊ぶことがなくなり、押入れの隅で眠ることになるのです。
欧米、特にアメリカの家は、大きな屋根裏部屋だの倉庫だのガレージだのがあり、スロットカーの常設サーキットがある家も珍しくはありません。そのため、スロットカーが大人のホビーとして定着しています。土地も安く、クルマ社会で、クラブサーキットも盛んです。
そんなアメリカでも、スロットカーに大きなスペースを割ける家ばかりとは限りません。「部屋は狭いけれど、いつだってすぐにスロットカーを走らせたい」。そう考えた人が行き着く先は、「壁に沿ってスロットカーを走らせればいいじゃないか」、ということです。
それを実行してしまったアメリカ人が、timmytube460さんです。YouTubeで公開されている彼の動画を見れば分かるように、少しいびつな形で広いとも言えない部屋の壁に沿ってスロットカーを360度1周走らせています。
スタート&フィニッシュラインは、腰の高さでスロットカーを置いたりコントローラーを操作しやすいようにし、それ以外のところは複数あるドアを開閉できるように高いところを走らせ、キッチンや冷蔵庫の上をまたぎ、再び、スタート&フィニッシュラインに戻ってきます。
スロットカー好きにとっては、常設サーキットというのは一生の夢であり、それができる日本人も限られています。壁に沿って走らせるというのは、誰もが考えはするものの、そこまではやらないので、これが常設か仮設かは分からないものの、実際にやってしまったところに敬意を表したいものです。
彼の他の動画を見ると、いろいろなことに挑戦する根っからのホビー好きのようで、人生を楽しんでいることが伝わってきます。こういう大人は素敵です。
(ジム加納)
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