【自動車用語辞典:維持費「車検に通らないクルマ」】整備不良と違法改造は検査で不合格になる

■安全に走行するための保安基準に適合しないと公道は走れない

●問題なく車検を通すためには、常日頃からの整備と合法的な改造

車検で不合格になる、保安基準不適合になる要因は、2つに大別できます。ひとつは、整備不良や部品劣化に起因する機能不良、もうひとつはドレスアップや性能アップのための違法な改造です。

車検に通らない2つの要因の具体的な事例について、解説していきます。

車検場の風景
車検場の風景

●整備不良や部品劣化に関わる機能不良

車検に通るには、適正に整備されて安全に走行できることが前提です。そのためには、日常点検を欠かさず行うことが必須です。

日頃の整備を怠り厳しい環境下での使用を繰り返すと、部品の劣化や損傷が加速されます。例えば、エンジン冷却水や潤滑オイルの不足によってエンジンの各部品は損傷し、急な加減速やブレーキ操作

を繰り返すとタイヤの摩耗が激しくなります。

このような整備不良や部品劣化によって車検が通らない事例としては、以下のようなものがあります。

・ヘッドランプのくもりや黄ばみ
光源不良の場合もありますが、多くは樹脂製のヘッドランプレンズのくもりや黄ばみによって、規定の光量が確保されず不適合になるケースです。

・ワイパーゴムの劣化
ゴムの劣化によってビビリが発生して、視野が確保できないような場合は不適合です。

・オイル漏れ
エンジンやトランスミッション、デフなどからのオイル漏れは、潤滑不足で焼き付きの原因になります。

・ドライブシャフトのブーツ、ステアリングラックのブーツ
ゴム製のブーツが破れてグリース漏れを起こし、焼き付きの原因となります。

・マフラー
マフラーが錆びて排気漏れを起こし、騒音規制オーバーとなる可能性があります。

・電球の球切れ
ブレーキランプ、テールランプ、スモールランプなどの電球切れによる不具合事例は多いです。

・タイヤ
スリップサインが出ている摩耗タイヤは、非常に危険で車検は通りません。

●違法改造

エクステリアやインテリアについては詳細に規定されているので、一部でも違法があれば車検は通りません。改造する場合には、十分な注意が必要です。

・フロントウィンドウ
フロントウィンドウに車検標章以外のステッカーやフィルムが貼ってある場合、車検は通りません。フロントウィンドウ以外のステッカーの貼付は問題ありません。

・遮光フィルム
運転席と助手席の窓に透明度80%以下のフィルムの貼付は視界不良になります。

・タイヤ
前後のタイヤのひとつでもボディからはみ出すと、不適合です。

・最低地上高
ボディ下部の一部と路面との距離が90mm以上必要です。

・ボディ
オーバーフェンダーなどを装着して、車検証に記載されているボディサイズが守られていない。

・スポイラー
車幅より長いスポイラーを装着すると不適合です。

・ヘッドランプとフォグランプ
ヘッドランプは白色、フォグランプは白色または淡黄色と規定されています。

●車検不合格時の対応

ディーラーや整備工場に車検を依頼した場合は、問題あれば修理してくれるので不合格になることは、まずありません。一方で、不慣れな「ユーザー車検」で対応する際に、車検不合格になる場合があります。

不合格でも、申請日当日であれば3回まで検査を受けることができ、その日は無料で再審査を受けることができます。

それでも合格しなかった場合の再検査は、15日以内の再審査であれば、不適合箇所の修正のみで検査手数料も1300円程度ですみます。15日を過ぎた場合は、検査も最初から実施して手数料も通常の1800円程度かかります。


車検に通らないのは、クルマの異常に全く気づかない気にしない無頓着な人、あるいはクルマが大好きでいろいろクルマに手を加えている人のどちらかではないでしょうか。

どちらの場合も保安基準不適合になる可能性があるので、適正な車両を意識して整備や点検、ドレスアップに心がけるようにしましょう。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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