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■自動運転やコネクティッド技術普及のためには不可欠な機能
●画像や音声、ジェスチャーなど多彩な手段で双方向コミュニケーションを実現
HMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)は、人と機器をつなぐ装置や手段の総称です。人が機器を操作する、機器側から人に情報を提供するといった双方向で情報をやり取りする手段であり、自動運転やコネクティッド技術を進める上で、その役割は非常に重要です。
ドライバーとコミュニケーションを図る最新のHMI技術について、解説していきます。
●HMIはなぜ重要か
「人が指示を与える手段」としては、各種スイッチ、ステアリングホイール、ペダル、レバーなどがあります。「機械が指示を与える手段」としては、液晶パネルやモニター、メーター、スピーカーなどがあります。
これまでは、ドライバーがスイッチやボタンの操作で機器に指示を出し、機器からはモニターや液晶パネル、または音声によって情報を得るのが一般的でした。
運転支援や自動運転技術が進む中、人とクルマが情報や意思を伝達し合うHMIの重要性が増しています。安全性と快適性、利便性の追求によって交換される情報量が増えるため、情報をタイミングよくドライバーに伝えなければいけません。
例えば、ドライバーの眠気や不注意などをどのように検知するか、また検知した情報を踏まえながら、危険回避の観点から視角、聴覚、触覚を通してどのような伝えるかに、HMIが大きく関与します。
以下に、最新のHMI技術について紹介します。
●視角HMI
従来は、運転に必要なスピードメーターなどさまざまな情報を集約したコンビネーションメーターが一般的でした。最近は、マルチインフォメーションディスプレイが電動車を中心に普及しています。燃費やエネルギーフロー、航続可能距離などの情報の表示を、一般的にはステアリングホイールに設けられたスイッチによって切り替えます。
視角HMIとして注目されているのは、「HUD(ヘッドアップディスプレイ)」です。
HUDは、車速やシフト位置、進行案内などの情報を前方2~3mほど先の虚像としてフロントウィンド下面に映し出す表示技術です。運転中の視線や焦点調整の移動が少ないことから、認識負荷を軽減して安全性が向上すると注目されています。
●聴覚HMI
自然言語処理能力を備えた対話型の音声認識を採用したクルマが増えています。メディアやナビ、スマートフォン、空調といった多くの機能を音声で操作できます。また天気や商業施設、イベント情報、駐車場案内などコネクテッドサービスを音声で利用できます。
音声認識はまだ十分なレベルに到達しているとは言えません。さらに精度が上がれば、ドライバーとクルマの間でより楽にコミュニケーションが取れるようになります。
●触覚HMI
広く用いられているタッチパネルは、タッチ箇所を目視する必要があり、運転時に前方への注意が疎かになるという課題があります。カメラや赤外線式近接センサーで手の動きを認識し、タッチの必要がないジェスチャーによる操作も実用化されています。
また、運転支援技術の警報として使われている触覚に訴える手法があります。
シートやステアリングホイールにアクチュエーターを内蔵して振動させることで、運転者に危険を伝えます。
●自動運転で必要なドライバー監視
自動運転を実現するためには、「システムが人の状態を知ること」が重要です。
提案されている運転者監視システムは、近赤外線カメラを用いる手法です。例えば、目の開き具合や頭部の動きなどを読み取り、居眠りしていると判断すると警告を出すシステムがその代表例です。
自動運転とコネクティッド技術の普及のためには、高度なHMIが必要不可欠です。
液晶ディスプレイ、HUD、音声認識やジェスチャー入力など、いずれも安全性や快適性を向上させる代表的なHMIであり、急速な普及が期待されています。
(Mr.ソラン)