入場口へ向けられた銃口。開催日程が公式ウェブサイトと違うなんてアリ?【デリーモーターショー2020取材記・前編】

●実は、インドは世界4位の自動車マーケットなんですよ

成田から飛行機で8時間ちょっと。やってきましたインドを代表する都市デリー。ちなみにデリーは周辺まで含めた都市圏としてカウントすると、約2900万人と世界第2位の人口を抱える都会なのだそうですよ(ちなみに1位は東京圏で3700万人弱。東京ってそんなに人が住んでいるんだ……)。

閑話休題。そんなデリーにやってきた目的は、2年に一度開かれる「デリーオートエクスポ」というモーターショーの取材(2月5日から開催)。

日本人にはあまりピンときませんが、実は年間約400万台の新車を販売するインドは中国(2576万台)、アメリカ(1710万台)、日本(526万台)に続く世界第4位の自動車マーケット(2019年統計)。

自動車ライターとしてこれは一度足を運んで自分の目で確認し、モーターショーも見ておかないと!という強い決意でインドに足を運んだというわけです(本当はインドへ行ってみたかっただけ)。

インドの神様といえば、ゾウの姿をしたガネーシャ

それにしても、です。インドのモーターショーは一筋縄ではいかなかった。

まず、公式サイトに書かれている日程と実際の日程が違う。なんと、プレスデー(報道向けの公開日)は公式サイトに書かれている日程よりも1日早くスタートしたんです(インドへ行く数日前に同業者から教えてもらって知った)。まずはインドの環境に慣れようと思って1日早く現地入りする計画だったからなんとか会場へ足を運べたものの、公式サイトの情報が間違っているってどういうこと? これがインドの洗礼ってやつに違いない。

日本からネットで申請しておいたプレスパス(そのあたりはシステマチックだったけどまさかのインドマジックがあった)も無事にゲットし、パス確認とセキュリティゲートを通過して会場内へ。

土嚢を盛った特設ブースの中で兵士が警戒しているのは日本じゃ考えられないこと(日本はまだまだ平和だなあ)で、マシンガンの銃口が常にゲート方向へ向いているのはけっこう怖い。見なかったことにしておこう……。

土嚢を積んだバリケードの中にいる兵士。銃口は入場ゲートに向いています。こういうのを見ると、日本は平和だなと思いますね。

こうしてやっとたどり着いたデリーオートエクスポ。しかし、ここまでは単なるプロローグでした。中に入ってしまえば安心……なんてことがあるわけないでしょ、このインドで。

インドの乗用車マーケットで、なんと約5割ものシェアを持つマルチスズキ

最初のプレスカンファレンス(記者会見)が行われるのは、インドの乗用車市場シェアの約5割を握るスズキと現地企業の合弁会社「マルチスズキ」のブース。さすがに最大手だけあってブースが広いし、たくさんの報道陣がいます。みんなおとなしく椅子に座って待っている……と油断していたら、まだまだインドを侮っていた自分に気が付いた。

なんと記者会見が始まるとともに多くの報道陣が立ち上がるじゃないか。それも、列の前のほうの人たちが。おかげで記者会見なんて見えやしない!

みんな立ちすぎ!

しかも、列の前のほうにいるにもかかわらず椅子の上に立ち上がるカメラマンなんかもいて、さすがにそこは一触即発。っていうか、リアルに怒鳴りあいの喧嘩が始まってました。いやいや、いいから喧嘩の前に記者会見を見なさいって!

なんだこのカオスっぷり。ブースの作りとかは先進国のモーターショーと変わらないクオリティなんですけどね。

こちらはインドの地元メーカー「タタ」

さすがだわ、インド。

というわけで、大波乱のプレスカンファレンスに引き続いて驚いた出来事の様子は「デリーモーターショー取材記後編」にて。

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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