【カワサキ W800ストリート/カフェ試乗】W1乗りが最新型に乗るとどう感じるのか!? 2台を検証する

■Zやニンジャもあるけど、Wも忘れずに!

カワサキには「Z」「ニンジャ」「マッハ」といった世界に名を轟かせるブランドがありますが、「W」も忘れてはいけません。カワサキ初の大排気量モデル「W1」は、「Z1」や「マッハⅢ H1」が登場する前の1966年に登場し、北米市場へ進出しました。スクランブラーである「W2TT」なども輸出仕様として送り込み、後のカワサキ・ビッグバイクの成功の礎をつくったモデルといえるのです。

Wに関しては鼻息の荒い筆者。じつはかれこれ四半世紀「W1SA」(1971年製)に乗り続けるダブワンマニアなのでした。暑苦しくてスイマセン。ですが、カワサキといえば「Z」や「ニンジャ」だけではなく「W」もあるということが言いたいのです。

そんな筆者が、最新の「W800ストリート」と「W800カフェ」に乗ってみました。


(W800ストリート)


(W800カフェ)

旧型オーナーは新しいものを否定しがちな印象かもしれませんが、そんなことは決してありません。じつはメグロやW1〜W3に乗るオーナーさんたちも、「W650」や「W800」を所有し、新旧両方を楽しんでいる人は珍しくないのです。70〜80年代のZ系オーナーが、ゼファーであったり「Z900RS」を“別モノ”として良しとするのと同じかもしれませんね。

●好みはストリート、新感覚のカフェの登場は嬉しい!!

さて、前置きが長くなりましたが、アップハンドルを装着し、スタンダード的な存在となるのが「W800ストリート」です。

小さい入力で軽快に車体が動き、昔ながらのライドフィールが味わえます。ベベルギヤ駆動のSOHC4バルブ並列2気筒エンジンは等間隔爆発となる360度クランクで、相変わらず心地良い鼓動感。新型は開発陣がサウンドにも徹底的にこだわり、マフラーが奏でる排気音も迫力があって旧型オーナーも納得のサウンドです。

ラインナップは2本立てで、「W800カフェ」もあります。こちらはビキニカウル、グリップ位置の低いM字型ローハンドル、そしてシングル風シートを備えて、そのネーミングの通りカフェレーサースタイルとしているのでした。ライディングポジションは前傾となり、ノンビリいきたくなるW800なのに、カフェではスポーツマインドがかき立てられるではありませんか。

新型はその気持に応えてくれるのでした。従来型ではフロント19インチでしたが、前後18インチの足まわりにし、フロントフォークもインナーチューブ径を39→41mmに拡大。キャスター角を27度から26度に起こし、トレール量を108→94mmに変更して、ハンドリングをより軽快になっているのです。

フレームも刷新され、剛性アップ。前後サスもコシの効いたセッティングに見直され、ペースアップしても車体が音を上げません。ブレーキもフロントのディスク径を300→320mmとし、ドラム式だった後輪はついにディスク式へとグレードアップされたのでした。進化ポイントは両車共通ですが、向上した運動性能をいかんなく発揮できるのが「W800カフェ」というわけです。

従来路線を好むなら「W800ストリート」、新感覚のスポーツ派なら「W800カフェ」というわけで、Wシリーズの魅力に幅が拡がったことは、昔からのファンである筆者も嬉しく感じます。

【主要諸元】
W800 STREET

全長×全幅×全高(mm):2,135×825〈925〉×1,135〈1,120〉
ホイールベース(mm):1,465
シート高(mm):770〈790〉
車両重量(kg):221〈223〉
エンジン種類:空冷4ストローク並列2気筒SOHC4バルブ
総排気量(cc):773
ボア×ストローク(mm):77.0×83.0
最高出力:38kW(52PS)/6,500rpm
最大トルク:62N・m(6.3kgf-m)/4,800rpm
燃料供給装置:電子制御燃料噴射
燃料タンク容量(L):14
トランスミッション:常時噛合式5速リターン
ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク
タイヤ(前・後):100/90-18・130/80-18
車両価格::993,600円〈1,112,400円〉
※〈 〉はCAFE

(文:青木タカオ/写真・動画:カワサキモータースジャパン、川崎重工業)