【ステップワゴン スパーダ・ハイブリッド試乗】「シリーズときどきパラレル」。セレナ e-POWERとは似ていて違う、ホンダの仕組み

セレナe-POWERの登場で再び注目を集めているMクラスミニバン・ハイブリッド車市場。

そこで今回、ホンダのステップワゴン スパーダ ハイブリッドを改めてチェックしてみることにしました。すると、セレナe-POWERとは似た部分と、まったく違う部分との両方が存在していることに気づきました。

2015年に登場した現行型ステップワゴン。「わくわくゲート」という縦ヒンジ扉を、通常ドアに加えて持つことが特徴のミニバンです。当初は1.5Lダウンサイジングターボエンジンのみを搭載していましたが、2017年9月のマイナーチェンジでカスタムモデルのスパーダにハイブリッド仕様(以下、ステップワゴンHV)を追加してきました。

このハイブリッドは「スポーツハイブリッドi‐MMD」とホンダが呼ぶシステム。エンジンと2モーターを連携させて走行するのですが、基本的にタイヤへの動力はモーターが担っているのが特徴です……というと「セレナe-POWERに似てるな」と思う方もいるでしょう。

正解です。実はセレナe-POWERもステップワゴンHV(のモーター走行時)も広義では「シリーズハイブリッド」に分類される、似た方式なのです。この方式ではパワーの流れは、エンジン→発電機(ステップワゴンHVでは発電用モーター)→走行用モーター→タイヤと順列=「シリーズ」に並びます。

対してモーターとエンジンを相互にやり取りしつつ、それぞれがタイヤと関連して走行するトヨタ・ノア/ヴォクシー系は、いわば「シリーズ・アンド・パラレルハイブリッド」式となります。

しかしステップワゴンHVは流れの速いバイパスや高速道路など、速度&負荷を一定にキープする際には電子制御クラッチを接続し、エンジン出力のみがタイヤへと直接関与することもあります。

エンジンとモーターのうち、もっとも効率よく使えるほうを選択してやる仕組みで、ホンダのこのシステムは「シリーズ、ときどき、パラレル方式」とも呼べるものです。

実際の制御内容はかなり複雑な様子。メーター脇に設置されたパワー遷移画面を見ているとモーターとエンジンの役割分担は刻々と変わっていて他人事(クルマ事?)ながら「頑張ってるなあ」と関心するほどなのでした。

ちなみにEVスイッチを押すとモーターのみでの走行も一定量なら可能だったりと、とにかくメカニズムに注目点が多いクルマです。

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
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