FT‐86本番は別物! コンセプトモデルは全てモックアップだった!?

今までに海外のショーやスクープで判明したFT‐86シリーズには3車種存在します。一つはジュネーブショーで公開された「FT‐86Ⅱコンセプト」、もう一つはニューヨークショーの「FR‐Sコンセプト」、そして、つい最近正式ネーミングが公開されたスバルの「BRZ」。

以前に『ニュルに現れた FT-86 はスバルバージョンだった !?』でもご紹介したとおり、スクープ車両のヘッドランプやテールランプ形状が異なる(外側が丸い)事や、ライセンスプレートがバックドアに移設されている事から、FT-86と似て非なる別物、すなわち「スバル版」と仮定した訳ですが、最近の自動車雑誌でもそれに気付いたようで、「BRZ」として扱っています。

http://www.youtube.com/watch?v=hQmUKqD5Bp8&feature=player_embedded

(ニュルブルクリンクを攻めるBRZの走りはこちら)
http://www.youtube.com/watch?v=_bhEWaQF2CM&feature=related

さて、標題の件ですが、皆様お気付きでしょうか? 御馴染みのシミュレーション・ゲーム、「グランツーリスモ5」製作チームによるCG動画版の走行シーンは幾度と無く公開されて来ましたが、BRZ以外、FT-86ⅡもFR-Sもスクープを含めてまだ一度たりとも走る姿が目撃されていない事を。

http://www.youtube.com/watch?v=3p2P2YhKnrw&feature=related

そのワケとは2009年のTMS(東京モーターショー)出品車を含めてトヨタ&Scion版のコンセプト車は全てモックアップ製で、「走行不可能」というのが実情のようです。

TMSで公開されたモデルはドアが開閉可能、且つインテリアもショー用に製作されていましたが、その後のモデルは全てガラスがフル・スモークで室内が見えないタイプ。勿論、エンジンも非搭載。その証拠動画が有ります。

http://www.youtube.com/watch?v=MfLl8elvXwY&feature=related

これはFR-Sのショー会場への搬入シーンを捉えたものですが、車両後方の担当者が有線でリモコン操作しています。つまり電動仕掛けのリモコンカーという訳。 ショーでの発表シーンではワイヤレスで走行。

しかもこのFR-Sが削り出しのモックアップである事を決定的に裏付ける製作過程を収めた動画も存在します。削り出しの一品料理という事でエクステリアは米国ウケを狙ってかなりマッチョにデフォルメされています。

http://www.youtube.com/watch?v=MpNjjIZxuN0&feature=related

背反事項としてFR-Sのエキゾースト・サウンドとして公開された動画が存在しますが、その信憑性のほどは? 音声を画像に合成しただけの可能性も考えられます。

http://www.youtube.com/watch?v=5oDT3dNDo2c&feature=player_embedded

以上の事から本家のトヨタ版やScion版のホンモノは一切社外スクープされていない事になります。ではなぜ実車の社外評価の様子がスクープされないのでしょうか。

それは自社の各種テストコース内を中心に走行評価を繰り返しているからで、足回りのチューニングや味付けがメインとなる社外評価は外観が多少異なるだけのBRZでまかなっているからと推測されます。

一方で、13日から始まるフランクフルト・モーターショーへの出展に先駆けて新たに製作されたFT-86ⅡコンセプトのティザーPVが公開されたようですが、深読みしなければこれはジュネーブショーで公開済みのブラックカラーの車体を別色に塗り替えて再登場させる事を予告しているものかと。

http://www.youtube.com/watch?v=XMYf9StnBoQ

以上、結論として、既に幾度と無くFT‐86開発責任者の多田チーフエンジニアが明言しているとおり、あくまで「本番モデル」は12月の東京モーターショーで初公開される予定で、一連の気の持たせ方は従来に無いトヨタの『新しいPR戦術』と捉えて良いと思います。

実車を何種類も仕立てるよりも各種モックアップを活用した方が効率的にPRできて、且つ開発費も低く抑えられるという訳です。まだ一切未公開の『本番モデル』はFT-86Ⅱよりも更にリファインされているとの事なので、「TMS2011」に向けて益々期待が高まります。
(それにしてもトヨタさん、まだ3ヶ月引っ張る?)

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2011/08/30/56176

(Avanti Yasunori )

【画像がすべて見られない方は>>> https://clicccar.com/59857

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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