目次
■車の維持費とは
車を購入し、所有するにあたって必要な維持費には、車両価格や燃料代の他に、税金や保険など諸費用がかかります。条件によって異なりますが、例えば、コンパクトカークラスでは購入時の諸経費は車両価格の20%程度、車の年間維持費は40万円程度にもなります。
車の購入、維持にかかる諸費用について、概説していきます。
車の税金
車に課せられる税金としては、自動車性能割(旧自動車取得税)と消費税、自動車重量税、自動車税/軽自動車税があります。2019年10月の消費税10%への増税を機に、これらの車に課せられる税が見直されました。
また、それぞれの税に適用されるエコカー減税も一部変更されました。「エコカー減税とは、2005年排ガス規制75%低減または2018年排ガス規制50%低減を前提に、2020年燃費基準値の達成レベルによって、段階的に減税される制度」です。
・自動車取得税→環境性能割
購入時に、車の購入価格に応じて課せられる税です。エコカー対象外の場合の取得税率は、車の購入価格の3%(軽自動車は2%)です。取得税は、2019年9月末をもって廃止され、代わりに環境性能割が適用されました。
・自動車重量税
自動車重量税は、車の重量ごとに税額が規定されています。新車購入時に3年分、以降の2年ごとの車検では2年分をまとめて納めます。
・自動車税/軽自動車税
自動車税/軽自動車税は、毎年4月に課せられる税です。税額は排気量ごとに規定され、2019年10月以降は、重量税は減額されました。ただし、軽自動車は減税対象外です。
自動車保険
交通事故によって相手を死傷させる、あるいは物を壊した場合、多額の賠償金や補償金が請求されます。
・自賠責保険
被害者保護の観点から、車を購入する際には、強制的に自賠責(自動車傷害賠償責任)保険に加入することが法律で定められています。
・任意保険
相手を死亡させる、あるいは後遺障害を与えた場合、賠償金は数千万円~数億円になる場合も珍しくありません。自賠責の金額だけでは補償はまかなえないので、不足分は自己負担になります。
また自賠責保険は人身事故だけが対象なので、事故対象が車や物損の場合は補償できません。このような対人、対物の補償の不足分を補うのが、任意保険です。
補償対象や補償範囲によって、対人賠償保険、対物賠償保険、自損事故保険、搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険、車両保険などがあります。
車購入時の諸費用
車を購入するためには、車自体の価格に加えて諸費用が必要です。諸費用は、税金などの法定費用と販売店手数料があります。
車自体の価格には、車両本体価格やオプション価格、値引き額が含まれます。法定費用とは、自動車税や自動車取得税、自動車重量税と自賠責保険料などです。販売手数料は、検査登録手続きや車庫証明取得の代行費用、納車費用などです。
車検時の費用
車検は、登録後の初回は3年後に、その後は2年ごとに保安基準に適合しているかどうかを確認する制度です。保安基準に適合していること、車の保有者および使用者を明記している公文書が、車検証(自動車検査証)です。
保安基準への適合が認められ、必要な納税や自賠責保険への加入が確認されれば、車検証が更新されます。車検証は常時、車に携行することが義務付けられ、保安基準に適合している証として「検査標章」が公布されます。これを、フロントウインドウの所定の場所に貼付しなければいけません。
車にかかる費用は、車両購入費用だけでなく、維持費を含めた総費用で検討することが重要です。税金や保険などの基本的な項目について理解すれば、節約も可能です。
本章では、車にかかる費用全般について、詳細に解説していきます。
■車の税金とは
車に課せられる税金としては、消費税と自動車取得税、自動車重量税、自動車税/軽自動車税があります。2019年10月の消費税10%への増税を機に、車の税体系が見直されました。
変更内容を含めて車に課せられる各種の税金について、解説していきます。
車の税金の種類
車に課せられる税金としては、購入時の自動車取得税と消費税、自動車重量税、自動車税/軽自動車税、車を保有して乗り続けるための自動車税/軽自動車税と車検時の自動車重量税があります。
2019年10月の消費税10%へ増税を機に、これらの車に課せられる税が見直されました。
また、それぞれの税に適用されるエコカー減税も一部変更されます。「エコカー減税とは、2005年排ガス規制75%低減または2018年排ガス規制50%低減を前提に、2020年燃費基準値の達成レベルによって段階的に減税される制度」です。
以下に、各税と今後の変更内容について解説します。
環境性能割
車の購入時に、購入価格に応じて課せられる税です。
エコカー減税対象外の場合の取得税率は、2019年9月までは車の購入価格の3%(軽自動車は2%)でした。
取得税は、2019年9月末をもって廃止され、代わりに環境性能割が適用されました。その税率は、エコカー減税対象外の場合、2019年10月以降2%(軽自動車1%)、2020年10月以降は3%(軽自動車2%)に設定される見込みです。
エコカー減税対象の場合の現行取得税率と、2019年10月以降の環境性能割、および2020年10月以降の環境性能割は以下のように決められています。
・2020年燃費基準を達成
2019年9月までは購入価格の2.4%、2019年10月以降1%、2020年10月以降2%
・2020年燃費基準+10%達成
2019年9月までは購入価格の2.55%、2019年10月以降は非課税、2020年10月以降1%
・2020年燃費基準+20%達成および燃費基準+30%達成
2019年9月までは購入価格の1.5%、2019年10月以降は非課税
・2020年燃費基準+40%達成および次世代自動車
2019年9月までは非課税、2019年10月以降も非課税
※次世代自動車とは、電気自動車、PHEV、燃料電池車(FCEV)、天然ガス自動車、クリーンディーゼル車
2019年10月から2020年9月までの環境性能割は、1年間の暫定処置で、消費税の増税の駆け込み需要の落ち込み対策です。2020年10月には取得税と同じ税率に戻りました。
自動車重量税
自動車重量税は、車の重量ごとに税額が規定されています。新車購入時に3年分、以降の2年ごとの車検では2年分をまとめて納めます。
車両重量と(エコカー本則税率、非エコカー対象外)を以下に示します。
・0.5t以下:(2,500円/年、4,100円/年)
・0.5t超1.0t以下:(5,000円/年、8,200円/年)
・1.0t超1.5t以下:(7,500円/年、12,300円/年)
・1.5t超2.0t以下:(10,000円/年、16,400円/年)
・2.0t超2.5t以下:(12,500円/年、20,500円/年)
・2.5t超3.0t以下:(15,000円/年、24,600円/年)
・軽自動車(2,500円/年、3,300円/年)
重量税のエコカー減税率は、以下の通りです。
・2020年燃費基準達成:25%軽減
・2020年燃費基準+10%達成:25%軽減
・2020年燃費基準+20%達成:50%軽減
・2020年燃費基準+30%達成:50%軽減
・2020年燃費基準+40%達成および次世代自動車:免税
自動車税/軽自動車税
自動車税/軽自動車税は、車の保有者に対して毎年4月に課せられる税です。
税額は排気量ごとに規定され、排気量が大きいほど自動車税は高くなります。2019年10月以降は、重量税は減額されます。ただし、軽自動車は減税対象外です。
排気量と(2019年9月以前⇒2019年10月以降)新自動車税の関係を、以下に示します。
・排気量1.0L以下:(29,500円⇒25,000円)
・1.0超1.5L以下:(34,500円⇒30,500円)
・1.5超2.0L以下:(39,500円⇒36,000円)
・2.0超2.5L以下:(45,000円⇒43,500円)
・2.5超3.0L以下:(51,000円⇒50,000円)
・3.0超3.5L以下:(58,000円⇒57,000円)
・軽自動車:(10,800円⇒変更なし10,800円)
ただし、上記の自動車税の減額は2019年10月以降に購入された車のみに適用されるので、それ以前の車に乗り続ける人には恩恵はありません。
2019年10月の消費税10%増税に合わせた車の税体系変更によって、新車の購入負担額の見積りが複雑になり、購入車種や購入時期による損得勘定の判断が難しくなりました。
車の税金に限ったことではありませんが、分かりやすい税体系にして欲しいものです。
■自動車保険とは
交通事故によって相手を死傷させる、あるいは相手の車を破損した場合、多額の賠償金を請求される場合があります。このような事故に備えて加入するのが自動車保険で、強制的に加入する「自賠責保険」と「任意保険」の2つに大別されます。
ふたつのそれぞれの自動車保険について、解説していきます。
自動車保険の必要性と自賠責保険
どんなに安全運転を心がけても交通事故は発生し、被害者のみならず加害者になることも避けられません。相手を死傷させる、あるいは物を壊した場合、多額の賠償金や補償金が請求されます。
そのため被害者保護の観点から車を購入する際には、強制的に自賠責(自動車傷害賠償責任)保険に加入することが法律で定められています。加入しないと、車検は通らず公道は走行できません。
自賠責の保険金の上限は、相手が死亡した場合1名あたり3000万円、後遺障害で4000万円、ケガによる損傷で120万円です。
相手を死亡させる、あるいは後遺障害を与えた場合、賠償金は数千万円~数億円になる場合も珍しくありません。
自賠責の金額だけでは補償はまかなえないので、不足分は自己負担です。また、自賠責保険は人身事故だけが対象なので、事故対象が車や物損の場合は補償できません。
このような対人、対物の補償の不足分を補うのが、任意保険です。
任意保険とその種類
任意保険は、強制の自賠責保険とは別に契約します。単に自動車保険といった場合は、任意保険を指し、ほとんどのドライバーは自賠責保険とともに加入しています。
任意保険は、以下の5種類の保険がセットになった保険が一般的です。対人補償保険と対物補償保険、自損事故保険、搭乗者傷害保険、無保険車障害保険です。
もうひとつ、自車の損害を補償する車両保険がありますが、これは保険料が高額になるため、すべての人がセット保険に組み入れるわけではありません。
以下にそれぞれの保険内容について、解説します。
・対人賠償保険
対人賠償について、自賠責保険の不足分を補う保険です。相手が死亡、後遺障害がある場合の賠償はもちろんのこと、治療費や休業損害なども補償されます。保険金額は、無制限にするのが一般的です。
・対物賠償保険
相手の車や物を壊した際の損害を補償します。相手の車や積み荷の他、破壊した建物やガードレールなども補償されます。保険金額は3000万~5000万円が一般的ですが、店舗などを壊すと高額になる場合もあるので、無制限にしておけば安心です。
・自損事故保険
ドライバー自身の過失による自損事故に備える保険で、対人賠償保険に自動的に組み入れられます。補償の対象はドライバーのみで、死亡時1500万円、後遺障害50万~1500万円のほかに、治療費をカバーする医療保険金もあります。
・搭乗者傷害保険
ドライバーを含め、搭乗者すべての死傷に備える保険です。家族も対象で、責任が自分自身にあっても補償されます。死亡や後遺障害に対する補償と医療保険金が支払われます。保険金額は500万~2000万円程度が一般的です。
・無保険車傷害保険
事故を受け、加害者が保険に加入していない、あるいは保険金額が十分でない場合に備える保険です。対人賠償保険に自動的に組み込まれ、保険金額は2億円以内で、対人賠償保険と同額です。
・車両保険
自車の損害を補償する保険です。事故相手による補償の不足分をカバーできます。補償範囲の違いによっていくつかの種類があります。交通事故だけでなく自然災害やいたずら、飛び石などの修理についても、保険金が支払われるものもあります。
保険料が高くなるので、加入しているドライバーは約半数足らずです。
保険を使ったことがないという人も多いので、自分の保険の補償内容を正確に理解している人は少ないのではないでしょうか。
保険を使わなくて済むことは良いことですが、せっかく補償できるのに使わないのはもったいないです。
■自動車保険料制度とは
自動車保険には、購入者が車の使い方に応じて条件を設定する、あるいは保険会社が交通事故の発生リスクを考慮して条件を設定する制度があります。
自動車保険に組み込まれているさまざまな保険料制度について、解説していきます。
保険の等級制度
自動車保険の基本的な割引/割増制度が「等級制度」です。実績で決まる等級によって、保険料の割引率/割増率が決まります。
保険会社によって等級制度の内容は多少異なりますが、1年間保険を使わないと翌年の契約が割引され、保険を使うと割増されます。ある保険会社の例では、事故を起こさない(保険料を使わない)と毎年1等級ランクアップして割引率は1%ずつ上がり、事故を起こす(保険を使う)とその時点から3等級ランクダウンして割引率は3%下がります。
事故を起こさないと安全なドライバーと判断され、保険料が下がる仕組みです。
軽微な事故なら、保険を使わずに自費で修理代など補償金を払った方が、その後の保険料が上がらず長い目で見て保険料の総額が安くなることがあります。このような場合、保険を使うか、使わないか悩むところです。
年齢条件と家族限定
比較的保険料への影響が大きいのが、年齢条件です。
一般的には、「全年齢担保」、「21歳未満不担保」、「26歳未満不担保」、「30歳未満不担保」の4種類の年齢条件を設定しています。
年齢条件で若い人を除外すると、保険料は安くなります。保険会社によっては、年齢制限を付けると、全年齢担保の場合の保険料の半分近くまで下がる場合があります。
自動車保険は、年齢条件を満たしていれば誰が運転しても補償が受けられるのが基本です。家族限定にすれば、保険料は安くなります。
ここでの家族とは、一般的には同居の家族あるいは生計をともにする別居の独身の子どもを指します。また、本人だけが保証される運転者本人限定という割引制度を採用している保険会社もあります。
使用目的別保険料と走行距離別保険料
車の使用目的によって事故の発生確率に差が出るという考えに基づき、事故発生リスクが保険料に加味される使用目的別保険が組み込まれています。「レジャー」、「通勤通学」、「業務」の3つに分けられ、右にいくほど事故リスクが高まるので保険料が高くなります。
走行距離別保険料を組み込んだ保険も増えています。
走行距離が長いほど、事故発生のリスクが高まるので保険料が高くなるという考え方です。距離で区分するのが一般的ですが、区分の仕方は保険会社によって異なります。
排気量別保険料と型式別保険料
車両保険以外の保険では、排気量別保険料が採用されている場合が多いです。
ガソリンエンジンの場合は、軽自動車以外では1500ccと2500ccを境に3つ区分され、排気量が大きいほど保険料が2割程度高くなります。
一方で、車両保険は型式別保険料が採用されています。型式とは、基本的な車両構造などに基づいて自動車を分類する公的な単位です。型式ごとに保険実績に応じて1~9クラス分けして保険料を決めるのが、型式別保険料制度です。
例えば、高級車やスポーツカーは、盗難されやすい、スピードが出やすいなどの理由でハイクラスとなり、車両保険の保険料は高くなります。
保険は、保険料と補償の範囲のバランスをどう取るかが、悩ましいところです。
一方で、年齢条件や家族限定は、思い切って運転する人を限定すれば保険料を安くできるので、今一度検討し直す価値はあると思います。
■車両保険とは
車両保険は、事故相手による補償の不足分をカバーし、自車の損害を補償する保険です。補償範囲によっていくつかの種類があり、交通事故だけでなく、自然災害やいたずら、飛び石などの修理も補償できるタイプもあります。
自分の車の損害補償ができる車両保険について、解説していきます。
車両保険の概要
自動車保険は、事故の際に相手への死傷、および相手車への損害に対して賠償、補償する保険です。車両保険は、自動車保険の中で唯一、自車の損害が補償できる保険です。
車同士の事故で被害者のように思える場合でも、実際は僅かながら何割かの割合で自分の責任とされることがあります。その自己責任分は、相手から修理代がもらえず自己負担になります。こうした場合でも車両保険に加入していれば、自己負担分が保険金として支払われます。
交通事故はもちろんのこと、車両保険は自車のさまざまな損害分を補償できます。種類によっては、車の盗難や自然災害による水没、いたずらや飛び石で傷をつけられた場合などにも対応できます。
車両保険は入るべきか?
一般に車両保険は高額になるため、加入すべきか判断に迷うことが多いのではないでしょうか。
自車を補償するだけなら車両保険は必要ないと考えて、高額の新車以外は加入の必要はないという考え方が、一般的かもしれません。
車両保険の補償額は、車の購入から計算したその時点の時価での判断になります。補償金額は市場価格以上に設定することはできないので、場合によっては保険料の割には満足いく補償が受けられないケースもあり得ます。
例えば、新車時150万円で購入しても、10年後価値が30万円になれば、いざ事故にあって修理しようとしても30万円程度しか補償されません。もちろんその分、保険料は安くなっていきますが、それなら毎年保険料を払うよりも、車両保険に加入せずにいざという時には自腹で修理するという選択もあります。
ケースバイケースですが、損害補償の範囲と保険料のバランスで選択する必要があります。
エコノミータイプの車両保険
車両保険には、補償範囲の違いによっていくつかのタイプがあります。「一般車両保険」は補償が手厚く安心な保険ですが、高額です。「車対車+限定A特約」は、補償されない条件がありますが、比較的安く補償できます。
「車対車+限定A特約」は、エコノミータイプの車両保険と呼ばれ、代表的なものでは自損事故や当て逃げの場合は補償されません。
エコノミータイプにも、いろいろな補償範囲がありますので、契約時には補償の範囲を確認する必要があります。
免責設定による保険料の抑制
車両保険は、免責を設定すると保険料が抑えられます。
免責とは、その金額までは損害が補償されないということです。例えば、5万円の免責設定をすると、損害額が5万円以下の場合は補償されず、損害額が5万円を超えても受け取れる保険金は5万円を超えた分だけです。
免責の有無や免責金額の違いによる保険料の差は、保険会社によって異なるので注意が必要です。
車両保険の加入率(45%前後)が示すように、車両保険に加入するかどうかの判断は悩むところです。
損害補償の範囲と保険料のバランスをどのように考えるかは人によって違うので、いざという時に後悔しないように、十分熟慮して決めるべきと思います。
■車購入時の諸費用とは
車を購入する際には、見積書で仕様と価格、諸費用を確認して最終的に契約書(注文書)にハンコを押して契約が成立します。車の購入費用には、車自体の価格に加えて、税金などの法定費用と販売店手数料がかかります。
購入費用の内訳を記載した見積書の見方について、解説していきます。
見積書の確認事項
車を購入するためには、車自体の価格に加えて諸費用が必要です。諸費用には、税金などの法定費用と販売店手数料があります。
車自体の価格には、車両本体価格やオプション価格、値引き額が含まれます。法定費用とは、自動車税や環境性能割、自動車重量税と自賠責保険料などです。販売手数料は、検査登録手続きや車庫証明取得の代行費用、納車費用などです。
それぞれの費用について、以下に解説します。
車両価格
・車両本体価格
車本体だけの価格ですが、メーカーオプションが本体の一部として含まれる場合もあります。
・オプション、付属品価格
メーカーオプションとディーラーオプションは、通常別々に記載されます。
・値引き額
交渉の結果の値引き額は、車両本体の値引きか、オプションの値引きか、総額に対する値引きかが分かるように記載されます。
・下取り価格
下取り車がある場合は、査定された下取り価格が記載されます。値引きの代わりに、査定額よりも高い金額で下取りされることもあります。
法定費用
・環境性能割
車の購入価格に応じて課せられます。エコカー対象外の場合の環境性能割の税率は、車の購入価格の3%(軽自動車は 2%)です。
・自動車重量税
自動車重量税は、車の重量ごとに税額が規定されています。新車購入時に3年分、以降の2年ごとの車検では2年分をまとめて納めます。
・自動車税
排気量ごとに規定され、排気量が大きいほど自動車税は高くなります。新車の場合、登録月の翌月から3月までの月割りで払います。軽自動車は購入時にはかからず、納税は翌年度からです。
・自賠責保険料
車を購入する際には、強制的に自賠責(自動車傷害賠償責任)保険に加入することが法律で定められています。最初の車検までの3年分(36ヵ月、または余裕をみて37ヵ月)の保険料が必要です。
・法定預かり費用
車の検査登録や名義変更の手続き、車庫証明書を取得する際に陸運局や警察署に印紙代で払う費用です。
・自動車リサイクル料金
自動車リサイクル料金は、シュレダーダストとエアバッグ類、フロン類のリサイクルに必要な費用と、自動車リサイクルシステムを運営する費用を、ユーザーが負担する料金です。
・消費税
税金や自賠責保険料、法定預かり費用、自動車リサイクル料金以外には、消費税がかかります。消費税は、2019年10月に8%から10%に引き上げられました。
販売店手数料
・検査登録手続き、および車庫証明取得の代行費用
車検と新車の登録、車庫証明取得の代行費用です。
・納車費用
車を購入者の指定場所まで届ける費用です。自分で取りに行けば、かからない費用です。
・下取り費用
下取り車がある場合は、下取り車手続き代行費用が計上される場合があります。
車は高額の買い物なので、見積りの内容を注意深く確認して、納得して購入することが大切です。そのためには、最低限必要な知識が必要。分からないことは、理解できるまで説明してもらって契約しましょう。
■車検とは
車検は、車が保安基準に適合しているかどうかを定期的に検査、確認する制度です。登録後の初回は3年後、その後は2年ごとに実施することが義務付けられ、適合していることを証明するのが車検証です。
車検の目的や実施内容について、解説していきます。
車検とは
正式には自動車検査登録制度のことで、登録後の初回は3年後、その後は2年ごとに保安基準に適合しているかどうかを確認する制度です。保安基準に適合していることと、車の保有者および使用者を明記している公文書が、車検証(自動車検査証)です。
保安基準への適合が認められ、必要な納税や自賠責保険への加入が確認されれば、車検証が更新されます。車検証は、常時車に携行することが義務付けられ、保安基準に適合している証として「検査標章」が公布されます。
検査標章は、フロントウインドウの所定の場所に貼付し、ステッカーには大きな字で車検証の有効期限月が表示されます。その月の指定日までに、次回の車検を受ける必要があります。
有効期限が過ぎてしまうといわゆる車検切れ状態になり、公道は走れず、走れば違反行為です。
車検の検査内容と定期点検との違い
車検以外の車の点検として、法定12ヵ月点検と法定24ヵ月点検があります。法定点検も法律で定められた点検ですが、車検とは目的が異なります。
車検は、車が公道を走行する際に、安全面や環境面などが保安基準に適合しているかを検査します。ブレーキ系、足回り系、ランプ類、排ガスなど多岐の検査を行い、検査時点で保安基準に適合しているかどうかを確認するのが目的です。次の車検まで問題なく走行できることを保証するものではありません。
一方、法定点検は車が故障なく、快適に走行できるかどうかをチェックする定期点検です。
車検と同様に、ブレーキや下回りなどの点検を行い、消耗具合や劣化の程度を確認し、問題があれば車両トラブルが起きないように部品の交換や調整を行います。未然に事故や故障を防ぎ、性能を維持するのが目的で、「予防整備」とも呼ばれます。
法定点検は、道路運送車両法で規定されている義務ですが、実施しなかったからといって罰則規定はありません。ただし、点検しないと、故障や不具合の発生リスクが高まるので、安全な走行を続けるためには法定点検を受けるべきです。
なお法定24ヵ月点検は、通常は2年ごとの車検と合わせて実施するのが一般的です。
車検に必要な書類と費用
車検の際に必要な書類は、車検証と自動車税納税証明証/軽自動車税納税証明書、自賠責保険証明書です。自動車税納税証明書は、毎年5月に自動車税/軽自動車税を納税したときの証明書、自賠責保険は事故で相手を死傷させた場合に賠償金を払うために強制的に加入する保険です。
車検にかかる費用は、「法定費用」と「車検基本費用」、「部品交換費用」に分けられます。
法定費用は、自動車重量税と自賠責保険料、印紙代です。車検基本費用は、定期点検料と測定検査料、代行手数料です。部品交換費用とは、部品に問題があり部品交換した場合の費用です。
一例として、1500ccコンパクトカークラスの車検費用を見積もってみます。
・法定費用:41,930~51,530円
自動車重量税:15,000~24,600円(エコカー減税あり)、自賠責保険:25,830円、印紙代:1,700円
・車検基本費用:43,200円
24ヵ月定期点検:23,760円、継続検査料:8,640円、検査代行料:10,800円
・交換部品:なし
以上の車検費用総額は、85,130~94,730円です。
車検費用の相場は、ディーラーなら1500ccコンパクトカーで10万円程度、軽自動車で7万円程度です。
費用を安くするために、自分で車検手続きを行う「ユーザー車検」があります。日頃から点検をして車に問題がなければ、費用はおおよそ「税金+自賠責保険+24ヵ月定期点検+検査費用(1,700円)」なので、コンパクトカーならディーラー車検より2~3万円は安くなります。
■車検に通らない車とは
車検で不合格になる、保安基準不適合になる要因は、2つに大別できます。ひとつは、整備不良や部品劣化に起因する機能不良、もうひとつはドレスアップや性能アップのための違法な改造です。
車検に通らない2つの要因の具体的な事例について、解説していきます。
整備不良や部品劣化に関わる機能不良
車検に通るには、適正に整備されて安全に走行できることが前提です。そのためには、日常点検を欠かさず行うことが必須です。
日頃の整備を怠り、厳しい環境下での使用を繰り返すと、部品の劣化や損傷が加速されます。例えば、エンジン冷却水や潤滑オイルの不足によってエンジンの各部品は損傷し、急な加減速やブレーキ操作を繰り返すとタイヤの摩耗が激しくなります。
このような整備不良や部品劣化によって車検が通らない事例としては、以下のようなものがあります。
・ヘッドランプのくもりや黄ばみ
光源不良の場合もありますが、多くは樹脂製のヘッドランプレンズのくもりや黄ばみによって、規定の光量が確保されず不適合になるケースです。
・ワイパーゴムの劣化
ゴムの劣化によってビビリが発生して、視野が確保できないような場合は不適合です。
・オイル漏れ
エンジンやトランスミッション、デフなどからのオイル漏れは、潤滑不足で焼き付きの原因になります。
・ドライブシャフトのブーツ、ステアリングラックのブーツ
ゴム製のブーツが破れてグリース漏れを起こし、焼き付きの原因となります。
・マフラー
マフラーが錆びて排気漏れを起こし、騒音規制オーバーとなる可能性があります。
・電球の球切れ
ブレーキランプ、テールランプ、スモールランプなどの電球切れによる不具合事例は多いです。
・タイヤ
スリップサインが出ている摩耗タイヤは、非常に危険で車検は通りません。
違法改造
エクステリアやインテリアについては詳細に規定されているので、一部でも違法があれば車検は通りません。改造する場合には、十分な注意が必要です。
・フロントウインドウ
フロントウインドウに車検標章以外のステッカーやフィルムが貼ってある場合、車検は通りません。フロントウインドウ以外のステッカーの貼付は問題ありません。
・遮光フィルム
運転席と助手席の窓に透明度80%以下のフィルムの貼付は視界不良になります。
・タイヤ
前後のタイヤのひとつでもボディからはみ出すと、不適合です。
・最低地上高
ボディ下部の一部と路面との距離が90mm以上必要です。
・ボディ
オーバーフェンダーなどを装着して、車検証に記載されているボディサイズが守られていない。
・スポイラー
車幅より長いスポイラーを装着すると不適合です。
・ヘッドランプとフォグランプ
ヘッドランプは白色、フォグランプは白色または淡黄色と規定されています。
車検不合格時の対応
ディーラーや整備工場に車検を依頼した場合は、問題があれば修理してくれるので、不合格になることはまずありません。一方で、不慣れな「ユーザー車検」で対応する際に、車検不合格になる場合があります。
不合格でも、申請日当日であれば3回まで検査を受けることができ、その日は無料で再審査を受けることができます。
それでも合格しなかった場合の再検査は、15日以内の再審査であれば、不適合箇所の修正のみで検査手数料も1300円程度ですみます。15日を過ぎた場合は、検査も最初から実施して、手数料も通常の1800円程度かかります。
車検に通らないのは、車の異常に全く気づかない、気にしない無頓着な人、あるいは車が大好きでいろいろ車に手を加えている人のどちらかではないでしょうか。
どちらの場合も保安基準不適合になる可能性があるので、適正な車両を意識して整備や点検、ドレスアップを心がけるようにしましょう。
■運転免許証の費用とは
免許を取得するためには、教習所に約1ヶ月強通い、費用30万円程度というのが一般的な相場です。合宿取得タイプにすれば、もう少し短期で安く免許証を取得できます。
自動車免許取得および更新の実施内容と諸費用ついて、解説していきます。
いろいろな運転免許
乗用車を運転するための運転免許証は、普通免許と呼ばれます。乗用車だけでなく、車両総重量が5t未満/最大積載量3t未満、乗員10人以下という制限内なら小型トラックでも運転可能です。
それ以上のトラックを運転するためには、以下の免許が必要です。
・準中型免許
車両総重量7.5t未満/最大積載量4.5t未満、乗員10人以下
・中型免許
車両総重量11t未満/最大積載量6.5t未満、乗員29人以下
・大型免許
車両総重量が11t以上/最大積載量6.6t以上、乗員30人以上
マイクロバスは、定員26名以下のバスなので、普通免許では運転できません。
運転免許証の取得費用
免許は、一般に自動車教習所に1ヶ月強通って、30万円程度の費用で取得できます。あくまで目安なので、教習所や取得時期(繁忙期は高く、閑散期は安い)などによって費用は変動します。
総費用の変動要因は、以下の通りです。
・合宿免許は、教習所での取得に対して1週間から10日程度短く、費用は5万円程度安く取得できます。
・繁忙期(2~3月と7月後半~8月)と、閑散期(4月後半~7月前半と10月~11月)で5~10万円の差が出る場合があります。
・AT車限定免許は、一般の(MT)免許に比べて約2万円安価です。
免許取得費用の内訳
免許取得費用の内訳について、以下に解説します。
・入所料金:2~10万円
入所料金に学科教習料が含まれている場合があります。
・技能教習料:4,000~5,000円/時間
運転実技の教習費用で、AT車よりMT車の方が技能教習料は高いです。規定の教習時間内に受からないと、追加教習費用が発生します。
・学科教習料:5~10万円
運転ルールやマナーなどの授業料です。
・終了、卒業検定料:4,000~6,000円
終了検定は路上講習を実施する前の試験で、卒業試験は運転免許センターでの実技試験免除のための試験です。検定に受からなければ、追加費用が発生します。
・仮免料金:2,800円(受験料1,700円、交付手数料1,100円)
仮免許を取得するための学科試験費用です。
・運転適性試験:0~16,000円
安全運転の心得をアドバイスするために、ドライバーの性格や気質を判定します。入所料金に含まれる場合もあります。
・その他:2万円程度
教科書や高速講習代、証明写真などの費用です。
・運転免許センターで免許取得にかかる費用:3,850円
受験料1,800円、免許証交付料2,050円
以上、いろいろな条件で免許取得費用は変動しますが、総額で30万円程度です。
免許更新の費用
免許の更新費用は、更新手数料+講習手数料です。更新手数料は同じですが、講習手数料は免許者区分(免許証の色分け)によって異なります。
・優良運転者(ゴールド免許)
3,000円=2,500円(更新手数料)+500円(講習手数料)
運転免許を取得して5年以上経過、かつ5年無事故無違反ドライバー
・一般運転者(ブルー免許)
3,300円=2,500円(更新手数料)+800円(講習手数料)
運転免許を取得して5年以上経過、かつ5年間に軽微な違反1回のみのドライバー
・違反運転者(ブルー免許)
3,850円=2,500円(更新手数料)+1,350円(講習手数料)
運転免許を取得して5年以上経過、かつ5年間に軽微な違反が2回以上、あるいは違反点数が4点以上の違反を起こしたドライバー
・初回更新者(グリーン免許)
3,300円=2,500円(更新手数料)+1,350円(講習手数料)
運転免許を取得して5年未満、運転免許取得後初めて更新するドライバーで軽微な違反が1回以下
免許証の取得費用は高額ですが、車社会の中ではその価値は大きいと思います。
一方で、若者人口の減少と車離れの傾向は深刻で、教習所も集客のためいろいろなサービスを実施しています。
(Mr.ソラン)
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