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■コロナ禍で自家用車へのニーズが高まっている
もうすぐ夏のレジャーシーズン。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響は東京都で感染者が連日100人を超えるなど、まだまだ先が見えない状態です。
そんな中、トヨタのサブスクリプション(クルマの定額利用)サービスを提供するKINTO(キント)では、夏の旅行や普段の移動に関する意識についてアンケート調査を実施。「3密」を避けて移動する手段としてクルマが見直されていることが分かりました。
●クルマの方が「3密」を避けやすい
今回の調査は、2020年6月19日(金)〜6月21日(日)の3日間、全国の20代〜60代の男女500人(10歳刻みに男女各50人ずつ 男性250人、女性250人)を対象にインターネットで行われたものです。
それによると、夏の旅行についてはアンケートを実施した6月中旬時点では「決定していることはない」と答えた人が全体の79.6%。夏の余暇の過ごし方に関する質問では「家でゆっくり過ごす」と答えた人が56.6%と過半数。まだまだステイホーム傾向が強いことが分かりました。
また、調査では、もし今のコロナ禍下で旅行に行くなら「重視することは何か」について質問。
「感染リスクが少ない」58.0%、「事故などなく安全に移動できる」31.2%が上位に。加えて「旅費が安い」28.4%、「コストパフォーマンスが良い」25.8%と安さも重視されていることも判明しています。
「旅行に行く場合に意識すること」という質問については、「近場にする」71.8%、「短い日数にする」65.6%という回答も多く、日帰りも含めて「2泊3日以内」81.6%が主流のようです。
これらにより「安全で安く、近くて短い」が、コロナ禍下における旅行のキーワードになっていることが分かります。
興味深いのは、旅行する場合に「どんな移動手段を利用しても良いか」というアンケートの結果。「自家用車」と答えた人が67.6%と圧倒的に多くなっています 。
やはり、電車や新幹線・飛行機やバスといった一度に多くの人が移動する公共交通機関よりも、クルマの方が「3密」を避けやすいという意識の表れのようです。
さらに、クルマでもレンタカーやカーシェアリングなどを使う人の割合が少ないことから、旅行には「自家用車を使いたい」といったニーズが多いことも分かりました。
●日常の移動でもクルマが人気
調査では「日常的に利用したい移動手段」についてもアンケートを実施しています。
その結果、トップ3は「徒歩」83.8%、「自家用車」79.0%、「自転車」63.6%。一方、「電車」31.0%や「バス」19.4%、出張に欠かせない「新幹線」20.8%や「飛行機(国内線)」16.4%の利用は低いことが分かっています。
さらに、トップ3を選んだ人に「利用したい理由」を聞いたところ、いずれも「感染リスクを抑えられるから」(徒歩48.0%、自家用車68.9%、自転車48.7%)、「人の混雑を避けられるから」(徒歩34.4%、自家用車50.6%、自転車39.6%)といった回答をした人が多くいました。
このように、自家用車を利用したい人は多いことが分かりますが、逆にほかのクルマの利用法であるレンタカーやカーシェアリングは、旅行の時と同様、利用したい人は少数派に。
さらに、アンケートでは今後「自家用車を保有したい/今後も自家用車を保有し続けたいか」という質問も実施しており、75.0%が「保有したい」と回答。
また、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとした自動車に対する意識の変化を聞くと、15.4%が「自動車の購入を検討するようになった」と答えています。
●自家用車は自己防衛に最適?
ほかにも「新型コロナウイルス感染拡大を受け、移動に関する意識の変化」についてもアンケート。
結果は「移動の利便性より安全性を重視するようになった」51.0%、「移動にかかるコストより安全性を重視するようになった」の順で多くなっています。
さらに「意識の変化があった」と答えた人にその理由を聞くと、どちらも「新型コロナウイルスの感染から自分や家族を守りたいから」という意見が7割を超え、最も高い割合となっています。
これらの結果から、「自分でクルマを持ち移動に使う」ことが旅行でも日常の足としても「安全である」という意識が強くなっていることが推測できます。
コロナ禍の前までは、特に都市部での「クルマ離れ」が問題となっていました。カーシェアリングなどの新しいサービスが出てきた背景も、まさにそこにあります。
それが、コロナ禍の後は、少なくとも人々の意識としては「自家用車」へのニーズが高まっているということは、とても興味深いですね。
電車やバス、飛行機といった公共交通機関だけでなく、複数人が利用するカーシェアリングのクルマやレンタカーよりも、自家用車の方がいい。そこには、自分で保有するクルマの方が自ら安全や感染対策などの管理ができ、より「安心できる」といった意識が働いているのでしょう。つまり、自己防衛策が取りやすいということです。
いずれにしろ、新型コロナ禍下の新しい生活様式のひとつとして、今クルマが注目を集めていることは確かです。
「100年に一度の変革期」といわれ、自動運転車や電気自動車、カーシェアなどの新しい潮流が押し寄せているクルマの世界ですが、今後、さらに人々の生活に役立ち、安全や楽しさを提供する乗り物として進化していくことに期待します。
(文:平塚直樹)