■2020年の改良で欧州向けのティグアンにPHEVを追加
フォルクスワーゲンは、SUVのTiguan(ティグアン)が同ブランドの中で最も売れたモデルとアナウンスしました。さらに、2020年春には累計600万台の生産を達成したそうです。
世界で最も成功したSUVの1台へと進化を遂げた2代目ティグアン、フォルクスワーゲンによると2020年に大幅なデザインおよびテクニカルアップデートが施される予定としています。そのハイライトの1つは、ヨーロッパ向けのプラグインハイブリッドドライブ2(PHEV)を備えた新しいバリエーションの追加としています。
なお、北米を中心とした世界的なライバルモデルであるトヨタRAV4にも、プラグインハイブリッド(PHEV)の追加されるという一部報道もありますから、ホンダCR-Vなどとの競争激化は必至といえるかもしれません。
ちなみにJATOの「2019年 米国市場レポート」によると、米国のSUVシェアは46.5%、トヨタ RAV4は3年連続してSUVの最多販売モデルとなり、北米市場販売全体でも4位に入っているそうです。米国でのSUVマーケットでは、RAV4に続くのは、ホンダ CR-V、シボレー ・エクイノックス(Equinox)、ニッサン・ローグ(Rogue)となっています。
さて、フォルクスワーゲンを代表するSUVになった2019年のティグアンの生産台数は、累計91万926台。とくに人気なのがヨーロッパ市場。同マーケットでは、最も人気が高いSUVであり、世界で人気の高いSUVモデルのトップ3にランクインしています。世界中の80%の国で購入することが可能だそうで、3大陸にわたる4つのタイムゾーンで、このベストセラーSUVが生産されています。
■現在は55%がロングホイールベース仕様の「Tiguan Allspace」
2019年は、平均35秒に1台のペースでティグアンが生産され、4つの工場のいずれかでラインオフされています。初代は2007年のフランクフルトモーターショー(IAA)で世界初公開され、同年後半、初代が市場に導入されました。
さらに遡ると、2008年には15万台を超えるティグアンが生産され、ドイツでは初年度からベストセラーSUVの称号を獲得し、発売当初から世界中で好調なセールスを記録しました。
多用途で俊敏な走りを特徴とする同モデルは、2011年には大幅なアップデートが施されました。このモデルは際立った成功を収め、ティグアンの年間生産台数は初めて50万台の壁を突破しました。
2代目ティグアンは、2016年4月に市場に登場され、初めてモジュラートランスバースツールキット(MQB)をベースに開発されました。
刷新されたプラットフォームは、ダイナミックなプロポーションにより、さらに本格的でダイナミックなSUVモデルとして磨きがかけられました。新しい運転支援システムがアクティブセーフティを高める一方で、拡大されたホイールベースによる広々とした室内が実現しています。
さらに2017年には、ホイールベースが110mm拡大され、最大7名乗車のシート、専用のデザインを備えたロングホイール仕様の「XLバージョン」が追加されています(日本未発売)。同バージョンの登場により、生産台数がさらに増加。現在では、55%がロングホイールベースバージョンになっているそう。
米国で発売されている第2世代のティグアンは、すべてがロングホイールベースバージョン。欧州市場をはじめ、多くの国でロングホイールベースモデルは「Tiguan Allspace(ティグアンオールスペース)」という名称で発売されました。中国では「Tiguan L」1として販売されているXLバージョンも人気が高く、2019年10月、プラグインハイブリッドモデルが追加されました。
先述したように、ティグアンは、4つのタイムゾーンにわたる4か所のフォルクスワーゲン工場で生産されています。通常のホイールベース(NWB)バージョンは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアの各市場向けに、ドイツのウォルフスブルグにある本社工場で生産されています。モスクワ南西の170kmに位置するカルーガ工場では、ロシアおよび近隣の中央アジア諸国向けに、NWBモデル1を生産。
上海では、中国市場向けにロングホイールベース(LWB)バージョンの「Tiguan L」が生産されています。メキシコのプエブラでは、南北アメリカ、ヨーロッパ諸国、アフリカ、アジア、オセアニア向けに、ティグアンのLWBバージョン1を生産しています。
(塚田勝弘)