目次
■トリッカーの本領発揮! 楽しさ120%のオフロードラン
ストリートによく似合うおしゃれなトリッカー。でもその真価はオフロードでこそ発揮されます。
市販オフロードバイクは、モトクロスやラリーといったスピード競技をベースに作られたマシンが多いのですが、トリッカーは難所を攻略するテクニックを競うトライアル競技をベースにしたマシン。さまざまなオフロードバイクの中でも、とくにハードでテクニカルなフィールドを走るのに向いています。
ただ、市販車としては軽量といっても127kgのマシンで本格的なトライアルに挑むには、それなりの覚悟とテクニックが必要です。でも小さなステアケース(段差)や丸太越えにトライするには十分。誰でも手軽にトライアルごっこが楽しめちゃいます。
■オフロードではタイヤで苦戦するシーンも
トリッカーのタイヤはオン・オフ両方をバランスよく走れる仕様ですが、どちらかといえばオンに重点をおいた特性。ふつうのダートなら安心して走れますが、滑りやすいグラス(草地)やマディ(泥道)では、グリップ不足を感じるライダーもいるかもしれません。
ダートコースでの試乗日は、あいにく小雨がぱらつくウエット・コンディション。おかげでたちまちグルーブにグリス状の泥が詰まり、タイヤ全体が泥に包まれてツルツルになってしまいました。本格的にオフロードを走りたい人は、あらかじめ、よりオフロード向きのタイヤに交換しておいたほうが、ダートランの楽しみを広げやすいかもしれませんね。
■穏やかなスライドとスムーズなターン
あいにくの路面コンディションとなった試乗日でしたが、それでもフラットダートのターンはとてもコントローラブル。まったく不安なく楽しめました。
ターンの出口ではスロットル開度が大きくなるにつれてリアが出てきますが、いきなり大きく滑るわけではなく、振り回されることがないので怖くありません。これなら少し練習すれば、誰でもちょっとしたテールスライドをマスターできそうですね。軽くて足つきがよく、バイクを傾けたときも不安感がないので、アクセルやブレーキを使ったトリッキーなターンにも挑戦できそうです。
試しにスローペースでモトクロスコースを一周してみましたが、コシの強いサスがしっかり踏ん張ってくれて、ギャップが連続するフープス(ウォッシュボード)セクションも難なく走れました。
■フロントアップも自由自在
オフロードアクションの代表格ともいえるフロントアップも、トリッカーなら簡単です。低速からたっぷりトルクが出るエンジンと軽快なフロントまわりのおかげで、コツさえつかめばフロントタイヤは軽々と上がります。頑張ってスロットルを開ける必要がなく、自然な操作でできるから怖くないのが嬉しいですね。
ダート経験が浅いライダーでも、トリッカーでしっかり練習すれば、フロントアップのマスターはそれほど難しくなさそうです。
■もっと深く、もっと遠くへ
その気になれば、なかなかのハイペースでダートを走れるトリッカーですが、だからといってスロットル全開でかっとばすマシンではありません。穏やかなエンジンと軽快な乗り味を楽しみながら、とことこのんびりオフロードを散歩するスタイルがぴったりですね。
タフな心臓とすばらしい足をもつトリッカーは、深い山へと続く険しい林道やひろびろした河原のライト・トレッキング、満天の星を見上げて楽しむワイルドなキャンプまで、さまざまなアウトドア・アクティビティの世界へライダーを連れ出してくれます。
ふだんは通勤・通学の足になり、街遊びにもつきあってくれるおしゃれなトリッカーが、自然の中では誰より頼れる旅の相棒になってくれるなんて素敵ですよね。1年365日、いつでもどこでも一緒にいられる素敵な恋人みたいなマシン、それが「フリーライド・プレイバイク」トリッカーの魅力の核心なのかなと感じました。
【ヤマハ トリッカー主要諸元】
全長×全幅×全高:1980mm×800mm×1145mm
シート高:810mm
エンジン種類:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
総排気量:249cc
最高出力/最大トルク:20ps/2.1kgm
燃料タンク容量:7ℓ
タイヤ(前・後):80/100-19M/C 49P/120/90-16M/C 63P
ブレーキ:油圧式シングルディスク
車両価格:47万6,300円
(写真:高橋克也 文:村上菜つみ)
【関連リンク】
村上菜つみさんがホンダ・トリッカーで出かけたツーリング記事は、月刊誌「モトチャンプ」2020年5月号(4月6日発売)に掲載されています。
モトチャンプ5月号の詳細はこちら
https://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=11361
トリッカー Official Site
https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/tricker/