【自動車用語辞典:スペックと分類「クルマの分類」】大きさや排気量などで自動車はさまざまなタイプに分けられる

■道路運送車両法と道路交通法によってクルマを類別

●サイズや重量、乗員数などで細分化

クルマの分類には、登録や車検、届出、強制保険で使われる道路運送車両法による分類と、運転免許や交通取り締まりで使われる道路交通法による分類があります。

クルマの分類とその定義について、解説していきます。

●道路運送車両法による分類

何気なく使っている自動車という呼び方ですが、自動車とは乗用車や貨物自動車((トラックなど)、バスなどを含んだ総称です。乗用車とは、自動車のうち人が乗ることを目的とした自動車のことです。したがって、自動車=乗用車+貨物車+バスになります。

道路運送車両法では、乗用車は「普通乗用自動車」と「小型乗用自動車」、「軽自動車」の3つに分類され、クルマの登録や車検などで使われます。

・小型乗用自動車:人の乗用に使われる小型車

ナンバープレートは、通常5で始まる5ナンバー車です。

クルマのサイズは、全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以下で、ガソリン車の場合は排気量が2000cc以下です。

・普通乗用自動車:人の乗用に用いられる定員10人以下の普通自動車

ナンバープレートは、3で始まる3ナンバー車です。

クルマのサイズは、全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0m以下で、ガソリン車の場合は排気量が2000cc以下という小型乗用車の基準を1項目でも上回ると、普通乗用自動車に分類されます。

・軽自動車:人の乗用に用いられる軽自動車

黄色のナンバープレートで区別されます。

クルマのサイズは、全長3.4m以下、全幅1.48m以下、全高2.0m以下で、排気量が660cc以下です。

3つの分類は、以上のようにクルマのサイズ(長さ・幅・高さ)と排気量によって区別され、ナンバープレートで差別化されています。ただし、軽油や天然ガスを燃料とする場合は排気量の基準が適用されません。

●道路交通法による分類

道路運送車両法による分類
道路運送車両法による分類

運転免許制度上では、車両総重量5000kg未満、最大積載量3000kg未満、乗員定員10人以下の4輪車が「普通自動車」に分類されます。軽自動車も含まれ、運転には普通運転免許証が必要です。また、普通免許にはAT車専用のAT限定免許もあります。

普通自動車より、車両総重量や最大積載量、乗員が大きいと「中型自動車」や「大型自動車」に分類され、それぞれ中型免許および大型免許が必要です。

道路交通法による分類
道路交通法による分類

●セグメント

欧州では、主としてクルマの車格を表すセグメントという分類があります。統一された基準や法的効力がある訳ではありませんが、大まかには以下のようにAセグメント~Fセグメントまで分けられます。

・Aセグメント

「ミニカー」と呼ばれる小さ目のコンパクトカーで、ワーゲン・up、日産・マーチ、三菱・ミラージュなどが相当します。

・Bセグメント

「スモールカー」と呼ばれる大き目のコンパクトカーで、ワーゲン・ポロ、ホンダ・フィット、マツダ・デミオなどが相当します。

・Cセグメント

「ミディアムカー」で、ワーゲン・ゴルフ、スバル・インプレッサ、ホンダ・シビックなどが相当します。

・Dセグメント

「ラージカー」で、ベンツ・Cクラス、ホンダ・アコード、トヨタ・カムリなどが相当します。

・Eセグメント

「エグゼクティブカー」で、サイズが大きいだけでなく、プレミアムカーであることが条件です。ベンツ・Eクラス、BMW・5シリーズ、日産・フーガ、レクサスGSなどが相当します。

・Fセグメント

「ラグジュアリーカー」として、ハイエンドサルーンが対象です。ベンツ・Sクラス、BMW・7シリーズ、レクサスLSなどが相当します。

セグメントは、クルマの大きさの目安ですが、実際はユーザーがクルマを選ぶ際に比較しやすいように車格を表現しているのです。


クルマを購入するときには、通常同格のクルマの価格や性能、サイズなどを比べて決定します。日本でも、欧州のセグメントのような分類の仕方が一般的になれば、よりクルマが比較評価しやすくなると思います。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる