●アウディ A1 スポーツバックのエクステリアデザインをチェック
2019年11月1日、新型Audi A1 Sportbackが発表されました。
新型は、全長4040×全幅1740×全高1435mmと、先代と比べ全長で55mm、全高で10mm拡大されていますが、中でもホイールベースが2560mmと95mm長くなっているのがプロポーション上の特徴で、居住性の向上が大きく図られています。
そのエクステリアデザインは、最新型ということでアウディの新しいデザイン言語がもっとも色濃く反映されています。最初に感じられるのが、一段とシャープになった表現でしょう。
たとえば前後ランプやフロントのシングルフレームグリル。ランプは外形も直線的になりましたが、ターンシグナルなど内部に格納されたランプもすべてLEDされたことでグラフィックが緻密になり、全体のシャープさが強調されています。
独自のシングルフレームグリルは、より低くかつワイドになったことでシャープさの度合いが相当に向上。巨大な左右のエアインテークは、そこに立体感を与えています。
ランプやグリル以外でもこのシャープさは徹底されています。ボンネットフードには左右に2本ずつラインが走っていますが、よく見ると内側のラインは表面を彫刻刀で削ったようにカットされ、繊細さが加わっているのが分かります。
また、シャープになった前後ランプの「目尻」からは、そぞれぞれ短いアクセントラインが引かれています。こうした細かな細工がボディ全体の鋭い佇まいを作っています。
一方、新型A4から展開されている「アウディ・スポーツクワトロ」へのオマージュも盛り込まれていて、フロントグリルの3分割スリット、ワイドなCピラーなどを再現。とくにCピラーは黒のルーフとの組み合わせにより四隅の鋭角さが一層際立ちます。もちろん、オマージュとしては前後のブリスターフェンダーもしっかり盛り込まれています。
曲面を多用し極めてシンプルなスタイルだった先代に対し、一気に「攻め」のデザインに進化した新型A1 Sportback。最新のデザイン言語に準じたシャープな造形は、言ってみれば方向を変えただけであって、それ自体決して破綻はしていないようです。ただ、スポーツクワトロのオマージュについては少々煩雑かもしれません。
とくに前後のブリスターフェンダーは、たとえばA4やA6のように余裕のあるサイズではボディへ自然に溶け込みますが、A1のコンパクトなボディでは消化不足気味な印象があります。しかも、ドア面にはもう1本別のキャラクターラインが走っているので、余計に煩雑さを感じます。
とはいえ、8年間分の内外装の質感向上は著しく、このクオリティの高さとのバランスが肝になりそうです。モデルチェンジは決してカタチだけの変化ではありませんから、トータルとしての新型の評価は相応の高さになりそうです。
(すぎもと たかよし)