登場人物が画面の中からしゃべる! 歌う! デンソーテンの「ディスプレイスピーカー」【東京モーターショー2019】

●ディスプレイから音が出る!? クリアで臨場感のある「ディスプレイスピーカー」

映画やアニメ、ヴォーカルものの音楽映像、クルマの中で聴いているときは、左右のスピーカーから音が出ますよね? それが普通ですよね? 登場人物や歌手が歌っている画面からは音は出ませんよね? よく考えたら不自然じゃん?

でも、まぁステレオ音響というのは、それでうまくいくということになっています。左右のスピーカーから左右の耳に音が伝えられることで、それなりに立体的な音に聞こえるわけです。でもね、やっぱり画面のなかの登場人物の位置から歌声やセリフが聞こえてきたほうが自然に聞こえるはずですよね。でも、それは無理でした。なぜなら画面は画面であって、スピーカーじゃないからです。

そんな常識を覆すのが、このデンソーテンのブースにあった『ディスプレイスピーカー』です。もうこの名称だけですべてが説明されています。ディスプレイなのに音が出るんです! もちろん簡単なことではありません。だって、これスピーカーじゃないもん。

ディスプレイ画面と振動デバイスを組み合わせた作りになっているのですが、実際に振動して音を出しているのは、有機ELを使ったディスプレイ画面そのものだそうです。

ディスプレイスピーカーON
ディスプレイスピーカーをONにした瞬間、目の前で登場人物(豚)が歌い始めます!

スピーカーというのは、低い音から高い音まで、いかにまんべんなく、そしてひずみもなく再生できるかが重要なんですが、このディスプレイスピーカーでは音のシミュレーターを使って、ディスプレイとの組み合わせなども考慮し、アクチュエーターを開発し、DSPの制御も工夫をして、音の特性を整えたそうです。

Display_Speaker02
重く、厚くなってしまうので、駆動には電磁石は使っていないそうです。

実際に体感してみたんですが、ちがう! “目の前で歌っている感”がぜんぜんちがう! メーカーさんの話によれば、自動車の車内のスピーカーは足元などにあることが多いので、目の前から音が出るというだけでも、セリフや歌声はだいぶ聞き取りやすくなるのだそうです。

もちろん、このディスプレイスピーカーにも不得意な音域というのはあって、たとえば低音などは別のスピーカー(ウーファー)で補ってやったほうがいいです。でも、人間の声の音域は得意なようで、ほかのスピーカーとうまく組み合わせて使ってやれば、格別な臨場感が得られます。

Display_Speaker03
横から見るとこの薄さです。クルマに搭載するのになんの問題もなさそうです。

駆動には電磁石は使っていないので、かなり薄くできています。近い将来、車載ディスプレイに採用されて、クリアで臨場感のある歌声やセリフを聴かせてくれるのではないでしょうか。

(まめ蔵)

この記事の著者

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まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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