パリでの使い勝手を考慮したクルマは東京でも見事に本領を発揮【ルノー・トゥインゴ試乗】

●仕上がり感が増し、都内で最高の使い勝手を発揮したフレンチコンパクト

ルノー・トゥインゴは2016年9月に現行モデルが日本に導入されました。現行のトゥインゴはスマートとプラットフォームを共有するモデルで、エンジンをリヤに搭載、リヤタイヤを駆動するRR方式を採用しています。

トゥインゴ 前7-3スタイリング
マイチェン前に比べるとスッキリした印象となったスタイリング

2019年8月にマイナーチェンジを受け、従来設定のあった1リットル自然吸気や5MTは廃止。ラインアップは897ccターボでデュアルクラッチ方式の2ペダルモデルのみとなりました。リヤバンパーの形状が変更されたことにより、全長は少し長くなり3645mmに、全幅は少し狭くなり1650mmになりました。

トゥインゴ リヤ7-3スタイリング
リヤバンパーの形状を変更、フロント同様にすっきり感が増した
トゥインゴ ラゲッジスペース
エンジンはこのラゲッジスペースの下に収められる

トゥインゴのエンジンは897ccで92馬力/135Nmを発生します。つまりリッター100馬力を超える高性能ユニットです。ターボエンジンらしいラグはさほど感じられません。

マイチェン前のモデルに比べると明らかによくなっているのがEDCのシフトチェンジフィールです。マイチェン前はそれなりのショックをともなうもので、シフトアップタイミングに合わせてアクセルペダルを少し戻すようにする(クラッチが切れた際のエンジン上昇を抑える)必要がありましたが、そのテクニック的なものも不要。普通にアクセルを踏んでいくだけでスムーズに加速します。

トゥインゴ エンジンインテーク
マイナーチェンジでエンジンにフレッシュエアを導入するためのエアインテークが設けられた
トゥインゴ フロントシート
フロントシートはヘッドレスト一体型のハイバックタイプを採用
トゥインゴ リヤシート
リヤシートは2名分で、定員は4人となる。リヤドアのウインドウは下げられずフラップで少し開くだけ

ステアリングは中立付近をクイックにしたものなので、ロック・トウ・ロックが3.5回転とたくさん回るステアリングでも普段の運転では気になりません。かえってキビキビした走りができ。都内などの渋滞した地域ではヒョイヒョイ走れる印象が強くなります。

そしてなによりもエンジンをリヤに搭載するため、フロントタイヤの切れ角が大きく、最小回転半径も4.3mとかなり小回りの効く設定です。パリでの使い勝手を考慮したクルマは東京でもその本領を見事に発揮してくれます。

トゥインゴ ヘッドライト
Cのイメージで作られたデイライト。ウインカー使用時はウインカーとして機能する
トゥインゴ リヤコンビランプ
リヤコンビランプのデザインもCをモチーフにしたもの

今回のマイナーチェンジでは、「EASY LINK(イージーリンク)」と呼ばれる機構が採用されました。この「EASY LINK」はスマートフォンのミラーリングが可能な7インチタッチスクリーンモニターを備えます。スマートフォン内の各種機能にアクセスできほか、SiriやGoogleアシスタントを利用した音声での操作も可能となり、より使い勝手が向上しています。

トゥインゴ インパネ
必要最小限。シンプルで使いやすいインパネまわり
トゥインゴ フロントタイヤ切れ角
これでもか! というくらいに切れるフロントタイヤ
トゥインゴ 正面スタイリング
バンパー下側の左右にあるのがエアインテーク

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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