AIとの関係が生み出す? トヨタの考える未来の「愛車」【週刊クルマのミライ】

■東京モーターショーで公開されるコンセプトカーは「新しい時代の愛車」像を具現化、しかも2020年には体験できる!

トヨタが東京モーターショー2019においてMEGA WEB会場で開催される「FUTURE EXPO」に出展する新しいコンセプトカー「LQ」は、いかにも未来的なルックスに、じつは伝統的なクルマの価値観の将来を託しています。

トヨタの豊田章男 社長は常々「“愛”がつく工業製品はクルマだけ」と話していますが、自動運転やシェアリングが当たり前になる時代にはそうした“愛車”という感覚がなくなってしまうと予想するユーザーが多いのではないでしょうか。

しかし、トヨタのコンセプトカー「LQ」は、トヨタのポリシーともいえる「クルマは“愛”がつく工業製品であり続けてほしい」という考えに基づいたレベル4の自動運転技術を搭載したEVコンセプトカーなのです。

コンセプトカー「LQ」
トヨタ自動車 コンセプトカー「LQ」インテリア

そのポイントはAI(人工知能)にあります。『YUI』と名付けられたモビリティエキスパートであるAIエージェントが、ユーザー一人一人のニーズに合わせた移動体験を提供することで、クルマとユーザーとの特別な関係を作り上げ、新時代の『愛車』感を生み出すことが期待されています。

これまでの“愛車”がハードウェアの特性やフィーリングによって生まれていた感覚・感情だとすれば、自動運転時代の“愛”は自分仕様のAIとの関係性において生み出される感覚・感情というわけです。そうしてAIとの密な関係が生まれれば、ユーザーは他メーカーに浮気できなくなります(それがシェアリングであっても)。

クルマ愛を突き詰めていくことは、ユーザーのロイヤルティを高めることになり、つまりブランド力になると考えられるのです。

さらにAIエージェントがカバーするのはモビリティカテゴリーだけとは限りません。現在のトヨタはモビリティカンパニーとして、移動の自由を提供することを目指しています。しかし、“愛”を感じるAIを生み出すことができれば、すべての生活面をシームレスにカバーする一大ブランドになり得ます。

自動運転時代のAIという言葉には、柔軟で素早い処理能力を求める意思が強く含まれますが、これまでも“愛車”という存在にこだわってきたトヨタが考えるAIには、もっと大きな可能性を感じるのです。

コンセプトカー「LQ」フロント
トヨタ自動車 コンセプトカー「LQ」フロント

さらに、このAIエージェント『YUI』は東京モーターショーが終わっても味わうことができるというから見逃せません。2020年6月から9月にかけて、コンセプトカー「LQ」の試乗会「トヨタYUIプロジェクトTOURS 2020」が実施予定となっています。

この試乗会では、事前に公開されるスマートフォンアプリから趣味・嗜好を「YUI」に教えることで、ひとりひとりに最適化した「YUI」が搭載された「LQ」の試乗体験ができるというのです。是非とも体験したいクルマのミライです。

(山本晋也)

【関連リンク】

「トヨタYUIプロジェクトTOURS 2020」概要
期間:2020年6月~9月(予定)
場所:東京都 MEGAWEB及びお台場・豊洲周辺の公道
応募方法:詳細は今後特設サイトに掲載予定
特設サイト:https://toyota-yuiproject.com/

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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