【アバルト695Cリヴァーレ試乗】パワーだけじゃない。コンパクトカーを贅沢に乗ることを楽しめる1台

●フィアットとボートメーカーのコラボ。ライバルを凌ぐキビキビさに贅沢さをプラス

イタリアンコンパクトを代表するモデルがフィアット500です。日本と違って軽自動車がない欧州では、こうしたコンパクトモデルがモータリゼーションの下支えとなっています。

そして、こうしたコンパクトモデルをいじっちゃおうというのもこれまた世界共通だったりします。現在、FCAグループの一員となっているアバルトは、かつてはフィアットのモータースポーツ部門であり、スペシャルモデルを手がける存在でした。現在は、1つのブランドとなっています。

アバルト695Cリヴァーレはフィアット500から派生したモデル・アバルト695Cを基本にして、ラグジュアリーボードのリーヴァ社とのコラボレーションによって生まれたモデルです。

車内にはリーヴァのボートを思わせるマホガニーのパネルを採用。ブルーレザーのシートやメーターフードが使われ、非常に高級感にあふれる仕様となっています。さらにマフラーはアクラポビッチ社製のカーボン仕上げハイパフォーマンスエキゾーストシステムとなります。

搭載されるエンジンは直列4気筒の1.4リットル。フィアット500の2気筒エンジンと比べるとかなり高級感にあふれています。ミッションは2ペダルMTでATモード付きです。いわゆるロボATで、ATとしての性能はイマイチ。シフトアップ時にアクセルペダルを戻さないとかなりギクシャクした走りになってしまいます。

エンジンのパワフルさは十分です。小さなボディ、2300mmというホイールベースに対して180馬力のエンジンという組み合わせなので、そのキビキビさはBMWのミニをしのぐものです。

試乗車は695Cでソフトトップを持つモデルなのですが、試乗当日が雨天であったためにトップのオープンはあきらめました。これだけの装備を持つコンパクトモデルはそうそうはありません。全幅が1625mmなので、今ではなかなか珍しい5ナンバー登録です。

車両本体価格で422万円というアバルト695Cリヴァーレ、これはかなり贅沢な乗り物であると言えるでしょう。

(文/諸星陽一・写真/宇並哲也)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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