以前に、『大手が「軽自動車」開発に本腰、ダウンサイジング一直線!』でも触れましたが、日本の軽自動車市場はダウンサイジングやエコカー需要の高まりの中で成長を続けており、将来、新車販売台数の3分1以上を軽自動車市場が占めると予想されているようです。
今年6月には三菱と・日産合弁の軽専門の開発会社『NMKV』誕生が話題になったばかり。そして遂にトヨタも9月26日に自社ブランドで軽自動車発売に踏み切ることに。これまでマークXやクラウンを購入してきた顧客が高齢化するに伴って、軽自動車などに乗り換えるケースが目立ってきているそうで、販売台数を維持するのが困難になっているとか。
顧客離れを食い止める為にも、トヨタ系列の販売店では軽自動車の導入が急務のようです。第一弾は子会社であるダイハツのCM”カクカクシカジカ”で御馴染み、「ムーヴコンテ」ベースのOEM車で、トヨタ版のネーミングは『ピクシス・スペース(Pixis Space)』となる模様。価格帯もムーヴコンテと同一の112万~161万円。
トヨタによれば「軽しか売れない地域がある。まずはこうした顧客を取り込みたい」とする一方で、ダイハツに配慮して当面はテレビCMを流さず、展示店舗も限定するなど、静かなスタートになるようです。
今回、トヨタが軽市場に参入したことで、国内の全ての自動車メーカーから軽自動車が販売されることになった訳ですが、実際に軽を生産しているのはスズキ、ダイハツ、三菱、ホンダ、スバルのみで、そのスバルもトヨタと提携したことで商用車サンバーの生産が完了(~2012年2月)次第、工場は話題のスポーツカー「BRZ」の生産に切替わり、軽生産からは撤退予定。今後はダイハツからのOEMになるそうな。
一方で、今後の動きが気になるのが現在審議がストップしている新たな軽自動車税の行方。総務省が今年度に税制改正して2012年4月の創設を目指していた 「環境自動車税」の議論が2012年度に先送り されています。
普通車の燃費が劇的に改善されつつある現在、もし軽自動車の魅力である維持費の安さが税金アップでスポイルされれば、魅力が激減。 取扱い易さのみになってしまう可能性も。そうならないようにきっと各メーカーとも総務省の動きを注視している筈です。
今後、トヨタはさらに「ハイゼット」などの供給を受けて、年間販売目標約6万台を目指すようですが、何せ、トヨタブランドとしての軽参入は最後発となるだけに何か売りが欲しいところ。
殆どのダイハツ車のチューニングパーツを扱うSPKのD-SPORTの例が有りますが、トヨタならではのスポーティブランド「G’s」を活用して付加価値を付けた軽自動車を揃えるなど、独自のカラーを打ち出す事で、若者層へも更にアピールできるかもしれません。
何れにしてもトヨタが自社ブランドとして軽をどのような戦略で育てて行くのかが注目されます。
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(Avanti Yasunori )
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