旅先での急な体調不良、ひとの優しさが身にしみる……【車中泊女子のキャンピングカー生活】

長らく執筆をお休みしてしまいました。長年抱えていた座骨神経痛が急激に悪化し、痛くて寝返りもうてないし、立ち上がったり歩くのも困難になってしまい、病院へ駆け込んだ次第なのです。

しかも利尻島で。

幸い停泊していたキャンプ場から病院までは約1kmほどと近かったのですが、歩けないのでキャンプ場の管理人さんが「クルマで送りましょうか?」と言ってくださったけど、タクシーを呼びました。心配してくださって、それだけでも心強かったです。

タクシーの運転手さんも、まさか観光ではなく病院が行き先だなんてビックリしつつ、病院のドア真正面に横付けしてくれて「車椅子持って来ようか?」とまで言ってくれたり、優しさに涙が出そう。

実は数年前にも夜中に突然具合が悪くなって救急車を呼んだ事があります。人生で初めて「119」に電話しました。

いつものようにパソコンで仕事をしていただけなのに、急に手がふるえ出して、カチカチと歯の根が合わなくなり、おかしいと思って立ち上がったら膝もガクガクして極寒の地にいるかのように全身ガタガタ震え出したのです。そこは山陽地方で、10月でしたからそこまでの寒さではありません。

ちょうど、その数年前に父親が脳梗塞で倒れた経験がよみがえり「まさか、脳!?」とパニックになってしまい、震える指で119番するのがやっと。呼吸もままならず、うまく喋れなくて場所を伝えるのに難儀しました。

停泊していたのは山間の田舎町といったところだったのですが、これまた幸いな事に救急病院がすぐ近くにあったのです。当時は愛犬も同行していましたから、それには安心しました。

しかし結局、原因は不明なまま。「過呼吸ではないか」という診たてで、とりあえず筋肉を緩める注射と、神経を和らげるお薬を処方されました。しばらく横になって、落ち着いて来たところで…「では、帰っていいですよ」。

すでに夜中の2時過ぎです。いくら停泊地から約500mとはいえ見知らぬ土地で、街灯もなく真っ暗な夜道を帰るのは恐ろしいです。しかも原因不明のふるえに襲われたばかりなのに。

とはいえタクシーも営業時間外なので、せめて夜が明けるまでロビーでいいからいさせて欲しいと懇願したのですが、規則でそれはできないと冷たい返事。

これはもう、頑としてここに居座るしかない…と腹をくくっていたところ、ちょうど看護士さん(?)が帰宅するので「乗せて行きましょうか?」と申し出てくれました。天の助け…!

「こういうことやっちゃダメなんだけどね」

そういう規則があるのでしょうか、それをおして送ってくださって本当に有り難かったです。

それにしてもまさか、利尻島で病院のお世話になるとは…。

座骨神経痛の方はエコー検査やレントゲンの結果、骨や神経に異常はなかったので痛み止めの注射とお薬を処方していただきました。何日も続く曇り空と同様、しばらく気持ちも晴れず鬱々とした日々…。

温泉でゆっくり体を温めてほぐして、真面目に薬を飲んで、無理のない程度に歩くようにしていたところ、おかげさまで元の状態まで回復しました。ふだん長時間、運転しているかパソコンで仕事しているかなので、なるべくウォーキングするなりストレッチするなり、気をつけます。

となりで車内泊(このキャンプ場は車内泊OKなのです)していた女性から、「元気になりますように」と四葉のクローバーの押し花をいただくなど、いろんな方の優しさが身に染みました。

(松本しう周己)

この記事の著者

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松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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