新型クラウンはニュルブルクリンクで走りを検証したとのこと。え、あのクラウンが!?……と驚きつつ試乗してみると「なるほど確かに!これまでのクラウンとは違う」と納得させられるシャシーの出来になっていました。
15代目となる新型は、2017年の東京モーターショーで公開されていた、まさにそのものの姿で登場しています。
外観で特徴的なのは、クラウンとして初めて6ライトサイドウィンドウ(左右合計6枚の窓、の意味)を採用して、さらにルーフからトランク部分のラインをなだらかにつなぐセダンクーペ的フォルムとしたことです。
全幅は1800mmジャストと、近年の基準でいえば細めに抑えつつも、ボンネットやフェンダーに大胆な抑揚を付けたことで、ボリューム感あふれる見た目となっています。
ちなみに今世代のクラウンからは、上級で独自ボディの「クラウン・マジェスタ」はなくなります。また従来はスポーティグレードのアスリートにのみ前後デザイン変更を施していましたが、今回のモデルからは全て統一されたエクステリアになります(新スポーティグレードの『RS』のみ、4本出しマフラーが採用されるなどの小変更はあります)。
ヘッドライトはフルLED化されています。ライトの上端はシグネチャーランプ、下端部分はシーケンシャルウインカーとなっています。テールライト部分は従来のロイヤルとアスリートのテイストをミックスしつつ、まったく新しいテストとなっています。
独立したトランクルームは広大な容量を誇ります。装備されるラゲッジアンダートレイのプラスチック材質も上質なものを使っており、見えないところにも手を抜かない姿勢がうかがえます。
室内に乗り込んでみましょう。まずは後席から。居住性はすこぶる良好です。着座した瞬間に背中と腰・足裏がすっぽりと包まれる、サポート性の高いものがセットされています。身長173cmの記者がフロントシートを合わせた状態でリアシートに座ると、ヒザ前にはこぶし3つ分のスペースがあります。
またヘッドルームに関してもこぶし1つ以上入りますので余裕たっぷり。さらにリアサイドウィンドウの前後方向長が大きく取られているため後席からの眺めは広々です。
フロントシートに移る際、ドア閉めると「ボスッ」という重厚な音がしました。これはボディや内装の作りがしっかりしているということに加えて、ドア閉め音の作り込みをしているからです。
具体的にはドア内部構造を見直し、ドアパネルの発音面積(閉めたときに振動して音が出る部分)を大きくし、低音を強調するようなチューニングがされています。
前席の座り心地は、ある意味15代目クラウンで最も衝撃を受ける部分かもしれません。後席よりもさらにサイドサポートやランバーサポートが張り出していて、ちょっとしたバケットシートのような座り心地になっているからなんです。
ただし、そこはクラウンですから、ホールド性が良くても狭く不快に感じたりはしません。胴体をシートがきっちりとホールドしてくれつつも、肩周りの自由度は高く、かつシートからドアまでのスペースが大きく取られているためリラックスした状態で運転することが可能です。
メーターは基本的にはTFTモニターを使っていますが、メインとなるタコ&スピード表示部は液晶表示のバーチャルものではなく、実際の盤面がクリアパネルにはめ込んであります。このため、タコ&スピードだけが宙に浮いて見える不思議な表現となっています。
センターコンソールには2枚の液晶画面を設置しました。上部ではナビ地図画面等を表示し、下部ではナビのタッチ操作やエアコン調整などに使います。
つまり見るだけの液晶と操作を中心とする液晶の2つに分けたということです。
搭載されるパワーユニットは2L直噴ターボ、2.5Lハイブリッド、そして3.5Lハイブリッドの3種類です。トランスミッションは2Lが8速AT、ハイブリッド系統は電気式無段変速機となります。
駆動方式はFRを基本にしつつ、2.5Lハイブリッドにのみ4WDが設定されます。