王者NーBOXや、トールワゴンの代名詞であるタントといった、強力なライバル達に対抗できる個性を打ち出したい。いままでの延長ではダメだ、と考えたデザインは一体どのように発想されたのか。さっそくチーフデザイナー氏に聞いてみました。
── 本日はよろしくお願いします。まず、基本骨格の話からお聞きします。新型は先代に比べてピラーを立て、ベルトラインを高くしましたが、これは当初から決めていた要件なのですか?
「はい、かなり早い段階ですね。当初は、先代モデルに準じたフローティングルーフのイメージで先行モデルを数台作ったんです。そこで、どうしたら存在感のあるクルマを作れのるかを検討する中、こうしたキーワードが出てきました」
── そこから、初期案となるスケッチは数多くあったのですか?
「先代のイメージを継承しつつ、立体を組み合わせたモダン建築的な提案と採用案の2つがメインでした。前者は都会的ではあるものの、機能的過ぎて遊び心が足りなかった。一方、後者のスーツケース案は当初から手応えがありましたね」
── 早い段階から、そうした「コレ」という案があるのはよくあることですか?
「以前は複数案を比較検討しながら1次、2次案と進めることが多かったのですが、当初イメージから徐々に離れてしまう傾向がありました。なので、最近はできるだけ初期スケッチのイメージをそのまま残すパターンが増えていますね」