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■運転支援システム未装着車は査定も安くなる時代に
ADASと呼ばれる運転支援システムの性能向上は目覚ましく、この数年でアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)と呼ばれる高速道路での追従走行機能は、高級車だけでなく軽自動車にまで装着されるようになりました。
こうした安全装備の普及により、運転支援システムが装着されていることがスタンダードとなり、未装着のクルマの査定は低くなるようになりました。かつて、安全装備はクルマの査定価格にまったく影響しない時代もあったので、ユーザーの意識も大きく様変わりしたといえるでしょう。
しかしこういった最新の運転支援システムは、日進月歩進化しています。したがってクルマのモデルライフの中でも一部改良やマイナーチェンジの際に進化し、さらに機能が充実、向上しています。
自動車メーカーが、最新の技術をクルマに搭載するという真摯な姿勢は歓迎すべきことですが、その結果、同じモデルであっても安全装備の充実度が年式によって大きく異なるというケースが増えています。
例えば、2017年2月に販売開始された現行型のマツダ CX-5は、2018年2月と10月、同じ年に2回の商品改良を行っており、同じ年式でも搭載されているエンジンの性能や安全装備の機能が異なっています。
もちろん、こういった商品改良は中古車の価格に反映されていますが、ユーザーも自分のほしいクルマの価格ばかりではなく、こういった「いつ、どのような改良が行われていたのか」という情報を正しく知っておかないと、購入後後悔することになるかもしれません。
●ヴォクシーやアルファードはハイブリッドよりガソリン車のほうが値落ちが小さい
人気の中古車のボディタイプや傾向も変わっています。ひと昔前はミニバンや燃費性能に優れたハイブリッドカーが人気でした。しかし現在ではSUV(スポーツユーティリティビークル)と呼ばれるモデルが人気のボディタイプですし、ファミリーカーのミニバンでは、ハイブリッド車よりガソリン車のほうが人気というケースがあります。
例えば、1月にフルモデルチェンジを行ったばかりのトヨタ・ヴォクシーですが、2度目の車検を迎える人気のエアログレード、ZS 2017年式のガソリン車とハイブリッドカーの買取価格を調べてみました。
ガソリン車のZSの買取価格は約154万円。新車時価格からの残価率は63.5%。対してハイブリッドZSの買取価格は約181万円で、残価率は60.5%とガソリン車のほうが残価率が高く、人気が高いことを示しています。
同様に、2021年国産ミニバンで最も売れたトヨタ・アルファードでも、燃費性能に優れたハイブリッドカーより、税金の安い2.5Lガソリン車のほうが人気が高くなっています。これは、人気の高い車種を少しでも安く手にいれたい! という人が多いことが挙げられます。
こういったミニバンを購入する層は、小さいお子さんがいることが多く、車両本体価格の高いハイブリッドを敬遠し、別のことにお金を使いたいという人が多いことも言えるでしょう。
また、現在人気のSUVは、軽自動車から国産車でも1000万円オーバーのフラッグシップモデルまで各社豊富にラインアップしていますが、多くの車種が人気となっています。
なかでも、トヨタ・ハリアーやランドクルーザーなどは、新車だけでなく中古車の人気が高く値落ちしにくい車種となっています。これらのモデルは最新型だけでなく、旧型モデルの人気が高いことも特徴です。
したがって、人気の高い車種は中古車相場が高止まりする一方、人気薄の車種の中古車相場は大きく下がり、価格の二極化が進んでいきそうです。
●中古車の買い方も多様化してきた
そして中古車は購入の方法が変わわりつつあります。従来は中古車販売店から購入していましたが、オートバックスなどのカー用品店が、個人間売買に参入し活発化しています。国土交通省によると、2014年当時、国内の中古車の個人間売買はわずか6%。アメリカは29%、イギリスでは42%と、欧米に比べるとかなり少なかったですが、現在では大きく数字は伸びているでしょう。
トヨタやホンダといった自動車メーカーも、「認定中古車」を設定し、中古車販売に注力するようになっています。例えばホンダの認定中古車「U-Select」は、取り扱うすべてのホンダ中古車が、「修復歴なし、車両状態証明書付き」となっています。
そのうえ、無料保証が付くU-Selectと無料保証2年、年式5年未満、走行距離5万km未満、評価点4点以上という、高年式、高クオリティの中古車のU-Selectプレミアムを設定。はじめて中古車を購入する人の不安を払拭しています。
この認定中古車制度は、高品質の中古車を提供し、「いずれは新車を購入してもらいたい」という自動車メーカーのファン作りの裾野を広げる施策ともなっています。
ADASという先進の運転支援システムが普及し、便利となる一方で、クルマに対する情報収集も求められるようになってきた現代。中古車選びも、しっかりとした知識をもとに行いたいですね。
(萩原文博)
※この記事は2022年2月11日に再編集しました。
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