クルマを人に例えると、タイヤは足に当たります。しかし、タイヤが足と違うのは感覚を持っていないということです。確かに人間は足の裏から歩道が凍ってることを予想していますね。
そこで、ブリヂストンでは、加速度センサーをタイヤ内部に取り付け、そこからの情報によって路面状態を判断できるのだそうです。
どうしてタイヤ内部の加速度センサーからの情報を数値化すれば路面状態がわかるのか? 例えば、タイヤが空転している状態で一定速で回っている限り、その加速度はゼロです。しかし、車両に取り付けて車重を支えて荷重がかかった状態で回転すると、極端に言えば路面に接しているところでは直線運動、残りは回転運動をしています。
そうするとセンサーにかかる加速度が直線部分の前後で変化。その震動波系を様々な路面で計測を行い、波形が普遍的に起こることと、路面によって特徴的な波形が生じてきます。
この波形がウェット路面で水面に当たる時や、凍結路面でわずかに滑りながら回転しているようすなどがわかるといいます。
2011年11月からネクスコ・エンジニアリング北海道と共同で試験を進めてきて、今シーズンから実用化し、冬季道路管理の最適化に適用します。
リアルタイムに路面状況を判断し、次の道路メンテナンスに繋げることが可能となります。凍結防止剤を撒く際、散布車に撒くべくところに、最適な量だけ撒くことが可能となります。
実用化されるものには、加速度センサー、圧力センサー、温度センサーがひとつになってタイヤ1本に1個、タイヤの内面に接着されています。これに、小さな発電機も装着され、電力を供給する仕組みです。
また、将来的には、一般のクルマには、急な路面状態変化をドライバーや自動車に提供することができ、安全な交通社会へとつながると言えます。
今後の実用化には2つの可能性があるといいます。車両が大きかったり高価だったりの場合、例えば鉱山用トラック、大型トラック、飛行機などにはそれぞれのアプローチがあるでしょう。ですが、できれば乗用車に価値を持たせ、新車の中で実用化を、東京オリンピックより早く実現できたら、というのが願いだそうです。
もし、道路を走る車両のすべてにCIASが装着され、日本中で道路状況が瞬時に判断できればプローブデータとして、センターに集約させ、危険な道を回避したり、無理にクルマでの移動をせず別の手段に切り替えたりといったことが、走りながらあるいは出発前に判断することも可能となるでしょう。
クルマとIoTで日本が交通先進国になり、世界の手本となる明るい未来も夢ではないかもしれませんね。
(文・写真:clicccar編集長 小林 和久)