スバル・アイサイト 3つ進化

連休にクルマで遠くに出掛けたら、まんまと渋滞にはまってしまいました。まあそれは仕方ないんですが、そうするといるんですよね、渋滞の中で衝突事故を起こしている人が。それでまた渋滞が余計に伸びちゃったりして、「事故を起こさないように気を付けないと」と改めて思いました。
ところでみなさんはこんな疑問を感じたことはありませんか?
「渋滞した道路で、どうして衝突事故が起きるんだろう?」と。

実は、多くの理由はドライバーの不注意。ボーッと運転したり、渋滞だからと言ってスマホとかテレビとかを見ながら運転している(絶対にやってはいけません!)と、前のクルマの減速に気が付かず追突しちゃったりすんです。

本当は不注意をしないのが一番なんですが、人間だからミスを完全に防ぐことはできない。そこで車両の装備として事故を防いでくれるのが「ぶつからないクルマ?」としておなじみの、スバルの安全技術アイサイトをはじめとする「追突回避・被害軽減ブレーキ」です。通称「自動ブレーキ」なんて呼ばれていたりもしますね。
前方の車両や障害物を検知し、追突が避けられない状態になるとクルマが勝手にブレーキをかけて車両を減速させる仕掛けです。

というわけで前置きが長くなりましたが、実はそんな自動ブレーキの代表格であるスバル「アイサイト」が、レヴォーグの登場とともにバージョンアップを果たしました。そこで今回は、進化によって高まった部分を3つのポイントに絞って紹介しましょう。
どうして紹介するポイントが3つなのか? もちろん、新しいアイサイトが「ver.3」と呼ばれているからに決まっているじゃないですか。

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<1>ステアリングへの介入も加わった
高速道路などを走行中(時速約65キロ以上)に道路の白線を認識し、車線から外れないようにハンドルをアシストする機能を内蔵。車線を逸脱しそうになるとピピピッ!と警報が鳴ると同時に、自動的にハンドルが切れて車線内へクルマを戻します。周囲のクルマに接触するなど、車線から外れて事故を起こすのを防いでくれるというわけです。また、クルーズコントロール作動中は車線内の中央を維持するようにアシスト。ドライバーの負担を減らして走りを安定させるというわけです。凄い!
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<2>プリクラッシュブレーキの作動領域を拡大
カメラを高性能化したことで、前方の認識能力が向上。自動ブレーキによる自車と対象物との衝突回避もしくは被害軽減が可能な速度差(相対速度)はこれまで約30km/hまででしたが、約50km/hまで引き上げられたのです。事故を防ぐ(もしくは被害を軽減する)力が高まったというわけですね。より安心です。

<3>ハンドル操作での衝突回避は、より避けやすく
衝突の可能性が高い状況では、ドライバーがハンドルを切って衝突を避けようとすることもあります。最新のアイサイトは、そんな状況でも衝突回避をサポート。なんと、通常時よりも曲がりやすく(ハンドル操作により反応するように)車体の旋回特性まで変えてしまうというのだから、恐れ入ります。ハンドルを切って曲がろうとする内側のタイヤにブレーキをかけることで、左右輪の回転差を生み出してクルマをより曲げる仕掛けとしています。

もちろん、どんなに安全技術が高まっても根本にあるのはドライバーの操作。まずはドライバーがしっかりと安全運転し、それでもどうにもならなかった万が一の際には安全装備が乗員や周囲を守ってくれるのが前提です。とはいえ、ドライバーの注意不足をフォローしてくれる安全装備が事故を防いでくれるメリットは大きいですね。
「気を付ける」という精神論も大切ですが、それをバックアップする技術も重要なのです。ボクも、次に買うクルマには必ず「追突回避・被害軽減ブレーキ」をつけようと思っていますが、みなさんはどうしますか?

ちなみに冒頭に書いた渋滞中の追突事故(単純に後続車が追突したケース)は、このシステムがあればほぼ100%防げます。
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(工藤貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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