ZF製9ATが披露されたのは2011年のデトロイト・モーターショーで、今年デトロイトで開催された「オートモーティブニュース PACE」において製品部門のPACEアワードを受賞しています(PACEアワードは、自動車部品メーカーの卓越したイノベーションや技術的進歩、業績を称える賞)。
レンジローバー・イヴォークに続き、新型ジープ・チェロキーにもこの9速ATが採用されていますが、まずはレンジローバー・イヴォークの印象から。
一般道でも高速道路でも変速ショックなどは皆無で、スムーズなのには驚かされますが、アイシン製8ATと比べてもそのスムーズは同等レベルというか、変速しているかどうかもタコメーターの針を見ていないと分からないほどです。
また。2段、3段飛ばしのスキップシフトにも素早く対応しますから驚かされます。
100km/h巡航時は平坦路なら1500rpm前後とエンジン回転数も低く、静かなのも印象的ですが、果たして9速も必要なのかな? という疑問は当然浮かぶでしょう。
しかし、オプション装備の「アクティブ・ドライブライン」を選択すると、世界初「オンデマンド」の四輪駆動システムにより、35km/h以上の安定走行時にFF走行に切り替わることもあって、9AT化により11.4%も燃費を向上しています。
牽引性能も求められるうえに、重量も重いSUVには、DCTではなくATの多段化は有効なのかもしれません。
9AT化によりとくに高速巡航など高いギヤで走行できるシーンでは実燃費も伸びるはずで、とかくスタイルばかり注目されるレンジローバー・イヴォークですが、高速を使ってロングドライブをする機会が多いのならツーリング系SUVとしての価値も見逃せません。
(塚田勝弘)