M3といえば、「羊の皮を被った狼」の代表例といえるでしょうが、最近のM3などのMモデルは羊の皮とはいえない、ひと目でただ者ではないオーラに満ちています。5代目となるM3には、BMW M3(セダン)、そしてM3クーペの後継モデルであるM4クーペが用意されています。
エンジンは3.0Lの直列6気筒DOHC Mツインパワーターボエンジンで、431ps/5500-7300rpm、550Nm/1850-5500rpmという圧倒的なパワー&トルクを誇り、トランスミッションは、M3セダンが7速の「M DCT(デュアルクラッチ)」、M4はコンベンショナルな6MTと7速M DCTの両方を設定。
気になる価格は、M3セダンが1104万円、M4クーペの6MTが1075万円、7速M DCTが1126万円になっています。
新開発されたエンジンは、スクロール方式ツインターボチャージャーと直噴システム、ダブルVANOS、バルブトロニックを組み合わせたBMWの技術を「全部のせ」したもの。
さらに、エンジンのシリンダー・ブロックにクローズドデッキ構造を採用し、高剛性を確保しながら、シリンダーの内圧をさらに高めることが可能となり、高出力化と高回転化を実現。
また、鍛造クランクシャフトの採用で、高いねじり剛性の確保と軽量化を達成し、431psの最高出力を異例といえる幅広い回転域である5500rpm-7300rpmで発揮。最高回転数である7,600rpmまでほとんど衰えることなく吹け上がるMモデルならではの高回転型出力特性を誇ります。
さらに加えて、先代モデルを約40%も上回る550Nmの分厚い最大トルクは、1850-5500rpmという幅広いトルクバンドにより、アクセルを踏み込んだ直後から高回転に至るまで、力強い加速と鋭いレスポンスを両立しています。
M3セダン、M4クーペともにわずか4.1秒で時速100kmまで加速する圧倒的な加速性能を実現(ヨーロッパ仕様車値)しながら、EU基準値で燃費とCO2排出量を25%以上も向上(抑制)しているのもニュース。
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の積極的な採用を進めているBMWですが、M3セダンにはCFRP製ルーフを初採用し、M4クーペは先代のM3クーペと同様に引き続き採用。
M4クーペで6kg、M3セダンで5kgという軽量化だけでなく、重心を下げることで、ハンドリングなど運動性能を向上。さらにM4クーペはトランクリッドの内部構造部材にもCFRPを使用しています。
ほかにも、エンジンルーム内のストラット・ブレースを、重量わずか1.5kgのCFRP製にすることで、優れた剛性を確保し、スポーティで俊敏なハンドリング性能を実現。
また、アルミニウム製のフロント・サイド・パネルとエンジンフードの採用により、軽量化とともに前後重量バランスの向上に貢献するなどにより、M4クーペの場合で約80kgもの軽量化を実現し、車両重量1500kgを下回る1497kgを達成するなど、徹底した軽量化が図られています。
(塚田勝弘)