アウディ 水からメタンを生成しCO2排出を防ぐプランで多様化

アウディがドイツに建設した自社製プラントで水(H2O)を電気分解して水素(H2)を抽出、これに二酸化炭素(CO2)を反応させることにより、化学合成メタンガス(CH4)を生成する事業を2013年6月25日にスタート。

アウディはこうして生成したガスを「e-gas」と命名。

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この「e-gas」生産プラントはFCV(燃料電池車)の燃料となる水素を生成するだけで無く、FCVが一般普及するまでの間、CNG(Compressed Natural Gas)車の燃料となるメタンガスの化学合成をも可能としている所が注目ポイント。 

水を電気分解する際に使用する電力は再生可能エネルギーである風力発電の余剰電力を利用する徹底ぶり。 

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日本では2015年以降にガソリン/ディーゼル車、HV、PHV、EVからFCVへと移行する計画ですが、アウディはそこに自社製ガスとセットで走らせるCNG車を一枚咬ませているというワケです。 

この天然ガスと同成分であるメタンガス「e-gas」を使うのがA3の「g-tron」。

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同社のプラントが1年間に生成する約1,000tの「e-gas」は1,500台の「g-tron」に15,000kmの「CO2ニュートラル走行」を可能にすると言います。 

つまり「e-gas」生成時に約2,800tのCO2を消費する為、「g-tron」が走行する際に排出するCO2全てが事前に回収済みで「ニュートラル」になるとの考え。 

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Audi A3 Sportback 「g-tron」のスペックは最高出力110ps、最大トルク20.4kgmで最高速度は190km/h、0-100km/h加速を11secでこなします。  

同車は「e-gas」の他にも、CNG、バイオメタンガス、ガソリンを燃料にすることが可能で、これらを組み合わせた最大航続可能距離は1,300kmに達する模様。  

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VWグループに属するアウディは環境技術には「多様性」が必要としており、今回の大掛かりなプラント建設もその一環。 

「e-gas」は既存のCNG供給ネットワークを通じてドイツ全土に供給される模様。 

一方でアウディは「g-tron」に加えてPHVの「 e-tron」を開発済み。

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ガソリンとモーターにより0-100km/h加速が7.6秒、最高速度222km/hに到達。

モーターのみで走るEVモードでもパワフルな加速を提供、最高速度130km/h、平均燃費66.67km/Lの性能を保有。 

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このように周到な準備でガソリン車の走りと環境負荷軽減の両立を目指すアウディは他社に先駆けて代替燃料の多様性実現で着実に成果を出しつつあるようです。 

■Audi A3 Sportback G-tron Webサイト
http://www.audi.de/de/brand/de/neuwagen/tron/a3-sportback-g-tron.html

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 (Avanti Yasunori)  

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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