CX-5に追加された「SKYACTIV2.5」がもたらしたのは?【新型マツダCX-5試乗】

デビュー以来、高い人気を誇るCX−5がマイナーチェンジを受けました。その最大のトピックスは、アナザーチョイスの登場です。
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トルクフルで経済的という、とても魅力的なディーゼルが、CX−5の看板です。現在ライバル不在ともいっていい状況もあり、全体の8割くらいをディーゼルが占めています。
扱いやすいサイズや優れたユーティリティといったCX−5のボディに、ディーゼルの大きなトルクはロングツーリングにピッタリ。
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だけど「それだけじゃないんです!」というのが、今回のマイナーチェンジ。
ガソリンの2.5リッターが追加されたのです。
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これまでは2リッターガソリンと2.2リッターディーゼルターボというラインナップですから、その中間に位置することになります。
2リッターモデルではパワー不足、という間違ったイメージもあったようです。実際には不満のない性能なのですが、ディーゼルと比較するとちょっと差があったのです。ディーゼルの割合が多い理由は、そのあたりにあるのでしょう。

2リッターから2.5リッターへの排気量拡大は、25%ボリュームアップ! という計算になります。
そういう場合、一般的にはギヤ比を高くして静粛性や燃費を良くします。加速力は大きく強まりませんが、排気量アップ分の燃費悪化を最小限に抑えた上で、快適性も向上します。
しかしマツダはギヤ比を変えず、排気量アップ分をそのまま加速力向上に使いました。とくに高速での中間加速はパワフルで、ガソリンエンジンらしい緻密な回転フィールとともに、一気に速度を高めていきます。
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とはいうものの、加速力の向上は、単に速さだけではありません。
その余裕が優れた応答性となって、ドライバーのアクセルワークに忠実に反応してくれます。ドライバーが思ったように、自在に、エンジンをコントロールすることができます。CX−5の開発チームでは、そうした応答性を高めるために、細かな制御と改良を積み重ねていたのです。

つまりマツダは排気量アップの恩恵を、動力性能の向上だけでなく、動的な質の向上に使ったというわけです。ドカッとトルクが湧きだしてくるディーゼルに対して、繊細に滑らかにリニアにトルクが出て来る2.5リッターというキャラクターの違いなんです。ディーゼルが大型魚にも使える出刃包丁だとすれば、2.5リッターは飾り切りにだって使える高性能ペティナイフといった感じ。
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もちろん燃費の面ではディーゼルに敵わないでしょう。しかし微妙な速度コントロールが要求されるダラダラとした渋滞や、軽快に走りたいワインディングでは、絶妙なアクセルコントロールをキメられる2.5リッターの優位性が光ることでしょう。
CX−5を買おうとする人には、頭を悩ます存在の登場かもしれません。
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今回のマイナーチェンジでは、新しい構造のダンパーが採用され、乗り心地も改善されているようです。
また自動ブレーキで衝突被害を軽減するスマート・シティ・ブレーキ・サポートが、全車標準装備になりました。

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デビュー時にイメージカラーだったブルーが消滅したのは少しビックリですが、新しくソウルレッド・プレミアムメタリックという新色も加わりました。
バリエーションも一部修正され、2リッターガソリンは4WDがリストから落ちてFFのみの設定になり、その代役は2.5リッターガソリンで4WDとFFが両方用意されています。CX−5の4WDシステムはシンプルでロスの少ないメカニズムでありながら、連続的に前後トルク配分を制御可能で、雪道の発進などでも大きな効果を発揮します。それでいて、実用燃費はFFとそう変わらないレベルに収めています。
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(岡村 神弥)