経済効果43兆円! 自律走行車普及で事故90%減による米試算

先日も「第20回ITS世界会議 東京2013」で世界各国から自動運転に関する最新技術がプレゼンテーションされるなど、盛り上がりをみせる中、米独立系シンクタンク「Eno Center」が自律走行車の普及により、交通事故や路上での死傷者が最大で9割低減、米経済に年間約43兆円もの効果をもたらすとのリポートを発表しました。

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同センターによると、路上に於ける交通事故の殆どが人的要因によって発生している為、自律走行車が米国全体の10%普及するだけで交通事故と負傷者が半減、その経済効果は約2.4兆円に上ると言います。 

その他にも自律走行車は人間よりも反応速度が速く、交通の流れがよりスムーズになることから燃費が改善され、排出ガスも大幅に削減されるなど、環境へのメリットを挙げています。

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自律走行車は周囲の車を認識するだけで無く、進行経路の情報を「車車間通信」により他の車とやりとりできる為、先行車の減速や加速を予期した円滑な走行が可能で、減速の連鎖で起きる渋滞を回避可能。 

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また、普及と共にクルマの所有形態が変化して個人所有から複数所帯でのシェアが進み、駐車スペース不足の問題も解消されるとの予測も。 

ただ、スマートフォンからクルマを呼び出せるようになるなど、利便性が高まる余り、人々が運動不足となる懸念が有るとしています。 

今回のリポートでは技術上の課題や自律走行に伴う事故責任の所在など、ネガな要素については触れていませんが、自動車を取り巻く環境を一変させる潜在能力を考えれば、数々の障害は、遅かれ早かれ克服されると見込んでいるようです。 

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自律走行車は米国のみならず、日本でも東京オリンピックが開催される2020年の発売を目指して急ピッチで開発が進んでおり、多発する交通事故の抜本的解決策の一つとして将来が大いに期待されている状況。 

■Eno Center for Transportation
  http://www.enotrans.org/ 

■国土交通省 オートパイロットシステム検討会
  http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/ 

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 (Avanti Yasunori) 

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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