スバルのコンセプトカー「VIZIV(ヴィジヴ)」はブランド55周年記念車【ジュネーブモーターショー】

2013年3月17日に閉幕した第83回ジュネーブモーターショーにおいて、富士重工業が世界初公開をした「スバル ヴィジヴ コンセプト」は、跳ね上がったドアがショー会場でも印象的な一台だったということですが、その外観のインパクト以上に重要な存在です。なんと、スバル・ブランドの生誕55年という大きな節目に合わせて生み出した、ブランドの方向性を示すショーカーだったのだそうです。

SUBARU VIZIV CONCEPT_19

 次世代クロスオーバーのスタイルを示すという「ヴィジヴ」ですが、全長4320mm 全幅1900mm 全高1510mmというボディサイズはインプレッサよりも短く、さらにコンパクトなクラスへの展開も予感させるものですが、その点については公式にはアナウンスされておりません。

SUBARU VIZIV CONCEPT_05

ヘキサゴングリルやワイド感を強調するヘッドライトといったスバル・ブランドに共通するモチーフを大胆に配置したエクステリアは、全体としての塊感をアピールすると同時に、キャビンをコンパクトにまとめることでシューティングブレーク的な、躍動感あるスタイルを実現しているということです。

リヤにも一貫したスバルらしいモチーフを取り入れています。ユニークな形状のリヤコンビランプは、それ自体が囲ったスペースにヘキサゴン形を生み出し、フロントとの一体感を生み出しているといいます。

SUBARU VIZIV CONCEPT_01

2ドア4シーターというパッケージは、フル乗車でのロングツーリングも全員が快適に過ごせることを狙うと同時に、全席にインフォメーションディスプレイを配して、どこに座っていてもクルマとの対話が愉しめるということです。

その快適性に寄与しているのは、プロペラシャフトをなくしたことで実現したフラットフロアともアピールしています。

SUBARU VIZIV CONCEPT_02

そのパワートレインは、フロントにボクサーディーゼルとリニアトロニック(チェーン式CVT)、発電・駆動モーターを配置。リヤには左右独立型ツインモーターをレイアウトしたハイブリッドとなっています。 つまり、プロペラシャフトがなくてもスバルのアイデンティティともいえるシンメトリカルAWDを実現しているのです。

「Subaru Boxer Diesel Hybrid」と「リヤ独立モーター駆動タイプシンメトリカルAWD」の組み合わせは、スバルらしいアクティブセーフティと次世代にふさわしい環境性能を両立するものとなっています。

SUBARU VIZIV CONCEPT_11

ハイブリッドシステムには、スバル独自のプリクラッシュセーフティシステム「EyeSight」との協調制御によるエコクルーズ・モードを設定。追従クルーズコントロール時に、ターゲットとなる前走車などの状況に応じて、エンジンとモーターの出力を細かくコントロールする仕組みが取り入れられています。

また「EyeSight」の安全性能では、信号や標識を読み取るように進化させ、従来の追突事故以外に、交差点でのアクシデントへの対応も考慮したものとなっているとのことです。

SUBARU VIZIV CONCEPT_07

近未来のスバル車に採用されるデザインフィロソフィやテクノロジーを満載にした、まさしくコンセプトカーとして生み出された「ヴィジヴ」。その魅力により、欧州のスバルファンが増えていくことでしょう。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる