ピンクのクラウン発売が“トヨタRe Bornの象徴”と豊田章男社長が熱弁したわけは?

12月25日、クリスマスにしてほぼ今年の仕事納めに近い時期に、14台目新型クラウンはまさしく今年生まれた渋谷ヒカリエで発表されました。

このところ、起用したCMタレントや、CM契約がなくても発表会に華を添える(または大手メディアを呼ぶ?)ために話題のタレントが駆けつけるという発表会が少なくありません。

今回の発表会でもそういった目玉があるかと記者たちは期待していたことでしょう。

ティザーCMやサイトでは、北野武さんやジャン・レノさんが起用されていますので、もしかしたらお二人が来てくれるのでは?と私自身も少し期待していました。特に武さんは漫才ブームの頃からのファンですからね。

しかし、14代目クラウンの発表会はいい意味でその期待を裏切る、見応えのあるものでした。

トヨタの社運をかけた新型車には必ず出席する豊田章男車両のスピーチに始まり、自動車への憧れの復活、日本の元気を取り戻すこと、そのためにはトヨタが生まれ変わる必要がある、Re BORNしなければならない、その象徴がこんどのクラウンであることなどが語られました。

クラウンは日本でもっとも古い日本初の「国産車」なんですが、そのためか、とても保守的なイメージがあります。確かにこれまでのユーザーのイメージの中に、クルマを見ないでも新型になれば「とにかくクラウンの一番いいヤツ」を買ってくれるお客さんがいたという話はよく聞きます。そのお陰で、かつては「日本初」をフルモデルチェジのたびに投入される車種でもあり、イメージ以上に進化はしてきたのです。

しかし、ゼロクラウンが発売される以前から「変わらなければ」として開発が進み、ゼロスタートを意味あいが12代目クラウンのキャッチフレーズとなったはずです。

それでも、さらに生まれ変わっていかないと、いけない危機感を豊田章男社長は強調します。

それを象徴する車種がクラウンであるというイメージをさらにわかりやすく強調するため、ピンクのクラウンをCMに登場させていますが、それを急遽、販売すると発表しました。

直前までそれは発売する積もりはなかったそうですが、そのショッキングなカラーのクラウンを発売することで、まさに「クラウンは変わった。トヨタも前進している。日本も再生していく」とメッセージが伝わるというわけです。

発売の時期や、価格、台数限定なのかなど、細かいことはまだ決まってないそうですが、その豊田社長の気持ちを理解した上で乗るのなら、とても目立ってありがたみもあります。

自動車に限らず、輸出に大きく依存してきた日本の大手メーカーが、トヨタのRe BORNをきっかけに前に進んでくことを期待したいと思います。

(小林和久)

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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