11月6日、スズキは米国の100%子会社ASMC(American Suzuki Motor 社)が現地時間11月5日夕刻に連邦破産法第11章に基づく更生手続の申請を行ったと発表しました。
四輪車販売事業の採算確保が困難になった為、今後二輪車とATV(四輪バギー)、船外機の販売に事業を集約するそうです。
ASMCは2012年9月30日時点で総額3億4600万ドル(約280億円)の負債を抱えており、うち、スズキに対する債務は1億7300万ドル(138億4000万円)。
スズキの発表によると、今回の更生手続申請の理由について、撤退後も米国内全域で従来どおりユーザーに対して無償修理、サービス、部品販売を提供することが出来るようにする為の業務移行や二輪車・ATV、船外機の事業を維持・拡大する体制を円滑に築くことなどが目的と説明しています。
ASMCが米国で契約する販売店は261社。今回の連邦破産法の申請は早い話が「撤退に伴う法的紛争を効率的に処理する為」との見方も。
スズキは85年に米国での自動車販売をスタート。89年にGMカナダとの合弁工場カミ・オートモーティブで生産を開始し、07年には米国で10万2000台を販売したものの、リーマンショック後の09年にGMとの合弁を解消。その後は日本から円高の影響を受けながらの輸出体制に。11年度の米国販売は2.6万台とスズキの世界販売台数の1%程度となっていたようです。
2010年3月期の純利益は約108億円、11年3月期は約63億円の赤字、12年3月期は約13億円の赤字となっていた模様。スズキは今後、ASMCが四輪車事業からスムーズに撤退して事業再編できるよう支援する意向と言います。
振り返れば、スズキは2009年7月30日にASMCから米国市場向けに開発した「キザシ」を発表。2009年12月から北米で18,999ドル – 26,749ドルで販売開始、その後、欧州市場へ投入。さらに2010年6月には中国市場にも投入。競合車はアキュラTSXやVW PASSATとしており、スズキの世界向けフラッグシップモデルの位置付けに。
全長 4,650mm、全幅 1,820mm、全高 1,480mm、ホイールベース 2,700mmと結構大きなモデルで2.4L 最高出力188ps/6500rpm、最大トルク23.5kgm/4000rpmを発生する水冷直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載していました。
小型車では米国で売れないとの判断で投入した「キザシ」でしたが、ウリの部分が見え難く、このモデルの不振も今回の撤退に起因している可能性が有りそうです。
■American Suzuki Motor Corporation
http://www.suzukiauto.com/