バブル期と言えば、当時はあらゆる企業が製品に過剰とも言えるコストをかけ、今では考えられないクオリティの製品も多かった一方で、ほとんどノリだけで商品化してしまったのでは?と思える迷要素満点の製品も多数存在しました。
そんな中でもクルマも例外ではなく、製造コストを考慮した現代のクルマでは考えられない豪華装備のクルマや、今となっては迷車として語り継がれる珍車まで様々なクルマが存在しました。
そこで、コスト優先で製造されるクルマが多い現代で、今こそ乗ってみたいバブル期に登場したクルマベスト5を挙げてみました。
【量産車初の3ローターエンジンを搭載!】
マツダ・ユーノス コスモ
マツダのアイデンティティとも言えるロータリーエンジンの中でも、3ローター+シーケンシャルツインターボというモンスターエンジンを搭載して登場。
スペックは最高出力280ps、最大トルク41.0kg・mと、現代でも十分通用するスペック。
2ローター+シーケンシャルツインターボの13B搭載車も存在していましたが、コスモと言えば20Bと言われるほど、3ローターエンジン搭載車は絶大な人気を誇っていました。
当時のオーナーの話では実燃費は街乗りで3km/Lを切る事もあったとか?エコカーブームの現代ではありえない超高燃費ですが、バブル期にはそんな事はお構いなくスタイリッシュで豪華なインテリアのユーノスコスモは憧れの存在でした。
デビュー当時の新車価格:20B タイプE CCS 530万円
【量産国産車初のガルウィングドアを採用】
トヨタ・セラ
バブル期のトヨタ車と言えば真っ先に思い出すのがセラ。スーパーカーの代名詞とも言えるガルウィングドアのクルマが、普通にトヨタのディーラーで買えると言う事自体驚きでした。
ベースはEP82スターレットで、ガルウィングドアとグラスキャノピーのクーペボディという見た目以外は、至って普通のクルマでそのギャップもまた、バブル期らしいクルマと言えそうです。
エンジンは直4 1.5L 110ps/13.5kgmと平凡なスペックですが、凝った作りの割に車重が1tを切っており、5MTで乗ると意外と楽しいクルマでした。
デビュー当時の新車価格:スーパーライブサウンドシステム付き4AT 188万1000円
【国内では叶わなかった元祖着せ替えクルマ】
日産・エクサ キャノピー
登場時、国内ではエクサクーペとエクサキャノピーの2種類が存在した日産エクサですが、輸出仕様では脱着式のハッチゲートはクーペとキャノピーで交換する事が可能であり、海外ではキャノピー仕様としては発売されず、クーペのオプションパーツとしてキャノピー部分だけを販売していました。
国内では着せ替えをする事でボディ形状が変わってしまう為、法規上着せ替えをする事は出来ませんでしたが、1.6LクラスでリトラクタブルライトとTバールーフと言うスポーツカーアイテムも装備され、キャノピーとTバールーフを取り外せば、開放的なオープンエアを楽しむ事が出来ると言うのがウリでした。
しかしながら、取り外したキャノピーの保管場所や脱着も容易でない事から、キャノピーを外して走っている姿は見かけた事はありませんでしたね。
今こそ、全てのルーフを取り外して、爽快に街中を走ってみたいと思えるクルマです。
デビュー当時の新車価格:キャノピー タイプB 178万3000円
【国産初のCD値0.3を切ったクルマ】
スバル・アルシオーネ
スバリストでなくとも、2ドアスペシャリティカ―ブームのバブル期に、いろんな意味で皆が注目したクルマ。
現在でも人気の高い後継モデルのアルシオーネSVXと比べると、時代を感じる直線基調のスタイリングですが、当時としてはスタイリッシュで、斬新な装備も満載された一台でした。
何より話題となったのはそのインテリア。L字型のスポークを持つステアリングやオプションのデジタルメーターは、当時のテレビゲームの画面のようで、奥から手前に流れてくるタコメーターとブーストメーターのバーグラフは、とても近未来的ではあるものの、オーナーからは、ただ見づらいだけ!と言う話も聞いた事があります。
登場当時は水平対向4気筒ターボを搭載したVRが最上級グレードとして存在しましたが、後にマイナーチェンジで6気筒モデルの2.7VXを追加。
名実ともにスバルのフラッグシップカーとして君臨していました。
デザインは国産車で初めてCD値0.3を切り、0.29という数値に達したのは当時としてはかなり革命的でした。
空気抵抗を減らす為、ドアハンドルがフラットになっている所等、R35GT-Rに通じる物があると思いませんか?
デビュー当時の新車価格:1.8 VRターボ 4WD 231万5000円
【実はハッチバックではなく4ドアクーペだった】
マツダ・ファミリア アスティナ
4ドアセダンと3ドアハッチバックをラインナップするファミリアシリーズで異彩を放っていたのが4ドアクーペのファミリア アスティナ。 見た目はどう見ても5ドアハッチバックですが、マツダは4ドアクーペと言うジャンルで発売。
5ドアハッチバックと言うと当時は売れ行きが悪かった為か、頑なに4ドアクーペと言う名称を使い続けていました。
兄弟車にユーノスブランドで発売されるユーノス100もあり、発売当初1.5Lと1.6Lモデルのみのアスティナに対し、ユーノス100は1.8Lと1.5Lというラインナップでした。
デザイン的には5ドアハッチにリトラクタブルヘッドライトという前後のギャップが斬新でしたが、スポーティなフロントマスクでありながら、動力性能はごくごく平凡で走りは見た目ほどのインパクトはありませんでした。
再びハッチバック人気が高まりつつある現代に、リトラクタブルライトのファミリア アスティナに乗っていれば、注目度は抜群!あえて今、4ドアクーペというパッケージングに乗ってみたいと思わせる1台です。
デビュー当時の新車価格:1600 DOHC 4AT 166万4000円
バブル時代に登場したクルマは、日本初!世界初!と言うフレーズも多く使われ、今では考えられないコストを掛けたクルマから、現代では開発段階できっとボツになってしまうだろう黒歴史的なクルマまで、数々の”迷”車が存在しました。
バブル時代のクルマと言えばどうしても初代セルシオやR32 GT-R、NSX、初代シーマなどが挙げられますが、ヒットしたクルマだけでなく、現代ではきっと登場しないであろう”迷車”こそ、バブルの申し子と言えそうな気がします。
中古車相場も手ごろになって来たバブル時代の迷車達に、あえて今、乗ってみてはいかがでしょう?
(井元 貴幸)