既に日本のウェブメディアでも取り上げられているように、現在海外のメディアを中心にホンダがF1への復帰を検討しているという噂が流れています。
ニュースソースのひとつである「Racerca enginieering」によると、ホンダがエンジンサプライヤー(供給者)としてF1への復帰を検討していると、ホンダ関係者が認めたと報じています。
記事によると、既にF1用の1.6リッターV6直噴ターボエンジンは既に設計されていますが、2014年から適用されるフォーミュラ・ニッポンとスーパーGT500用の2リッターエンジンが用意できてから計画を始動させるとのこと。もっとも関係者は「この噂は根拠がないものではありませんが、しかし決定もしていません。我々は常に状況を評価しています」と語っているようなので信憑性が高いとも言いがたいのですが、それでは全然可能性がないのか? それともあるのか?
1.6LリッターV6直噴ターボエンジン開発ですが、これは2014年からF1のエンジン規定が変更されることに対応していることを意味します。ちなみに現在のF1用エンジンはV8気筒2.4リッター。
F1用エンジンとしては初めての直噴ターボエンジンということで、エンジンサプライヤーも新エンジン開発に力を注いでおり、既にルノーはベンチテストを実施しています。もしホンダが2014年からのF1参戦を考えているとするなら既にエンジンはできあがっていてもおかしくはありません。
F1以外に目を向けてみると、1.6リッター直噴ターボのレーシングエンジンは世界ツーリングカー選手権(WTCC)、世界ラリー選手権(WRC)で普及しています。これらWTCCやWRCに参戦しているメーカーの多くはF1にも関わっています。F1とツーリングカーではV6と直4の違いはもちろんのこと、絶対速度や使用回転域が異なりますからひとまとめにして考えるのは難があるかも知れませんが、それでも直噴ターボのレーシングエンジンノウハウを活かすことは可能だと言えるでしょう。
そしてホンダも10月からWTCCへの参戦を開始しました。
実際にエンジンを見た人の話では、WTCC用としてはびっくりするぐらいオーバークォリティなエンジンだったとのこと。一方でホンダはWRCには全く興味を示していないため、ますますこのエンジンの存在意義が気になってしまいます。
一方ホンダがエンジンサプライヤーとして復活した場合、そのエンジンを搭載するシャシーコンストラクターはいるのでしょうか?
実はマクラーレンとメルセデスが関係を解消するという動きがあり、そうなった場合、マクラーレンがホンダエンジンを搭載するのではという期待がヨーロッパで高まっているようです。
マクラーレンホンダといえばあのホンダの黄金期だったF1第2期ですね!
ホンダといえばマルボロカラーのマクラーレンMP4/4、そしてアイルトン・セナを連想する人も多いと思います。
結論から言ってしまうと可能性が高いとは言えませんが、0ではないと思います。F1への復帰するためには十分な予算と準備が必要ですので、今現在開発やテストをしていることがF1と無関係だとは言い切れませんし、そのようなことは社外秘ですから情報が外に漏れることはないでしょう。
これはホンダではなくトヨタの話ですが、トヨタがF1に参戦していた2006年の十勝24時間レースにレクサスGS450hが参戦したことがありました。ほぼ市販車だったレクサスですが、トヨタはワークス体制で参加し、ブリヂストンがトヨタのためだけにタイヤサービスを行ないました。翌2007年にはGT500スープラをハイブリッドにして参戦。この時はル・マン復帰を公式に謳っていませんでしたが、5年後の2012年にTS030ハイブリッドで世界耐久選手権(WEC)、そしてル・マン24時間レースに復帰したという例もあります。
まだ噂話の域をでないかもしれませんが、F1第2期を知っている世代から見れば、期待せずにはいられませんね。
(松沼 猛)
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