スポーツカーの走りの楽しさの原点に立ち返って開発されたトヨタ86ですが、何故スポーツカーではないプリウスと同じタイヤを履いているのかについて、巷では色々と囁かれていました。
「車体側にコストをかけ過ぎた結果、タイヤをケチった?」とか「86オーナーはどうせノーマルタイヤでは乗らないから?」などの疑念を持っている人も多いのではないでしょうか。
更に今回、大手タイヤブランド3社からトヨタ86専用スポーティ・タイヤが発売されるとあって、やっぱりそうだったんだ・・・と、何やら勝手に妄想してしまいがち。
そんな巷の空気を察知したのか、トヨタ86開発責任者の多田チーフエンジニアがその「真相」をトヨタ86のカスタマイズカー「FACTORY TUNE 001」のお披露目トークショーで熱く語りました。司会はお馴染みのピストン西沢氏、ゲストは土屋圭市氏です。
その理由は結論から言えば「プリウスに採用したタイヤがスポーツカーを開発する上で、あらゆる面でバランスがとれた良いタイヤだったから」。
そのタイヤとはご存知のとおり、ミシュラン社の「Primacy HP (215/45R17 87W)」。実はこのタイヤ、プリウスに採用されたことですっかり「エコタイヤ」としてのイメージが定着してしまった事が様々な誤解を生む原因に。実は欧州のスポーティ車にも多く採用されています。
多田チーフエンジニアいわく「Primacy HPのコストはPOTENZA RE050より高い」とか。今までのスポーツカーは最初から専用タイヤを履かせる事を前提に開発しており、タイヤを交換すると本来の運動性能を発揮出来ないケースが存在する(車体剛性もタイヤ依存型に)模様。
そこで86ではユーザーがどんなタイヤを履いても一定の運動性能を発揮出来るよう、タイヤに左右されない車両開発を目指し、それにふさわしいニュートラルな特性を持つタイヤを散々物色した結果、「Primacy HP」に行き着いたというのが真相のようです。
従って、今回新たに登場したトヨタ86専用タイヤはそんな素性の良い86の車体性能を存分に引き出せるタイヤとなっている模様。何事もまずベースが肝心ということですね。
こんな奥の深い開発をしているので、話しをよく聞いてみないとつい勘違いしてしまいそうな「コダワリ」がいっぱいのトヨタ86というワケです。
それでは爆笑トークショー後半も是非お楽しみ下さい。