プリウスPHVを発電機にして災害時の電源にできるV2Hシステムが発表されました

先日、日産がリーフと家庭用配電盤をつなぐ『EVパワーステーション』を発表しましたが、こうしたV2H(ビークル to ホーム) の流れは他メーカーでも積極的に研究されています。

トヨタからも、プリウスPHV(プラグインハイブリッド)やEVと住宅の間で、電力の相互供給を行なうシステムが発表されました。もっとも、こちらは実証実験に投入予定ということで日産が市販を開始するのに対して若干の遅れはあるといえそうです。

こちらのシステムの特徴は、車両・充電スタンド・住宅の間のデータ通信をしている点にあります。これにより、たとえば太陽光発電を利用して作られたグリーン電力や低コストの夜間系統電力を、住宅に設置した充電スタンドを経由して車両に充電・備蓄しておき、電力需要のピークに車両から家庭へ交流電力で供給することが可能になるといいます。節電的なピークシフトにも、また節約にもつながる電力の最適化ができるということです。

また、災害などで停電にみまわれた際には手動で切り替えることで、クルマを非常用電源として利用することが可能といいます。プリウスPHVのバッテリー総電力量は4.4kWhと一般家庭の消費電力でいえば半日分くらいですが、エンジンでの発電を考慮すれば一般家庭の日常使用電力の約4日分がまかなえる(ガソリン満タン時)ということです。

災害時のバックアップというイレギュラーな部分だけでなく、自家発電のマネージメントやピークシフトといった日常的にもプラスになるV2Hシステム。まだまだ始まったばかりで、今後の進化に期待したい分野といえそうです。

■トヨタ自動車、電気利用車両・住宅間の相互電力供給システムを開発(トヨタ自動車)
http://www2.toyota.co.jp/jp/news/12/06/nt12_0603.html

(山本晋也) 

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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