車のバッテリー寿命を縮めるNG行為! 交換時期を延ばす方法とは?

■バッテリーの寿命を延ばすには?

バッテリーが上がってしまう可能性はすべての車にある
バッテリーが上がってしまう可能性はすべての車にある

車のバッテリーが上がると、セルモーターが回せなくなりエンジンをかけることができなくなります。JAFのロードサービス出動理由も、季節を問わずバッテリー上がりがダントツの1位です。

なぜこうもバッテリー上がりのトラブルが多いのでしょうか。バッテリー上がりの原因は経年劣化による寿命のほか、運転環境や車の使い方による使用寿命の短縮にもあるようです。

そこで、どんな行為がバッテリーの寿命を縮めるのかを調べてみました。

●短距離走行がバッテリーを痛める

短距離移動を頻繁におこなうとバッテリーを傷める原因になる…
短距離移動を頻繁におこなうとバッテリーを傷める原因になる…

多くの車に用いられている鉛バッテリーは、電圧が低い状態が長期間続くと内部に固形物が生成される「サルフェーション」という現象が起こり性能が低下します。

つまり、なるべく低電圧状態になるのを避け、サルフェーションを起こさないことがバッテリーの使用寿命を延ばすコツといえます。

バッテリーを痛めるもっとも身近な行為は短距離移動といえるでしょう。エンジンを始動するためのセルモーターは車のなかでとくに消費電力が大きい装置で、一度エンジン始動させると数十分間走行しなければ満充電まで電圧を回復させられません。

そのため日常的に短距離走行を繰り返す車の使い方では、バッテリーが満充電にならないうちに再びセルモーターでエンジンを始動することになり、慢性的な低電圧状態を引き起こしやすくなります。

また、十分な充電を行うにはエンジン回転数を2000rpm程度まで上げる必要があるので、低速走行や渋滞走行も充電不足になりやすい環境です。とくに夏場は大電力を消費するエアコンを使用するため、さらにバッテリーの充電に時間がかかるようになります。

そのうえ近年はカーナビやドライブレコーダーの使用、スマホの充電など車内には電装品がたくさん。それぞれの消費電力はわずかとはいえ、積み重なるとそれだけバッテリーの負担が増すことになります。

●エンジン停止時の車の扱いにも注意

最低でも1週間に1回、30分程度は運転する習慣をつけよう
最低でも1週間に1回、30分程度は運転する習慣をつけよう

エンジンがかかっていない時の電装品の使い方もバッテリーの使用寿命に関わります。

短距離走行による低電圧状態で、電動スライドドアや電動リアハッチを多用すると電圧はさらに低下しやすく、バッテリーの劣化を促します。とくにバッテリーサイズが小さく電装品も多く搭載している軽ハイトワゴンなどは、出先でのバッテリー上がりに要注意といえますね。

また短距離走行をしなくとも、たまにしかエンジンをかけない車も低電圧になりやすい状態です。

車は使用してなくてもわずかにバッテリーの電力を消費していて、とくに最近の車はスマートキーやセキュリティシステムなどが標準装備になったことで、昔の車に比べて待機電力量も増えています。

長期間エンジンをかけないでいると待機電力によって徐々に電圧が低下し、短距離走行と同じくサルフェージョンが起こりバッテリーの性能が低下しやすくなります。そのため、使用頻度が低い車はバッテリーの状態を保つために最低でも1週間に1度、30分程度は連続運転してバッテリーをしっかり充電しておきたいところです。

月単位で車を動かさないと決まっているなら、バッテリーのマイナス端子を外しておきましょう。それでも電圧は低下しますが、待機電力が消費されないぶん電圧低下はゆるやかです。

ただし最新の車は一度バッテリー端子を外すと、複雑な各部の初期化設定が必要になるので、安易にバッテリー端子を外すのは避けたほうがよい場合もあります。

もちろん、うっかりやってしまう半ドアやルームランプのつけっぱなしもバッテリーを痛める行為にほかなりません。

●充電制御車は短距離移動に強い!でも油断は禁物

近年の車のほとんどは、充電制御システムと専用のバッテリーが組み合わされています。

充電制御システム搭載車は、バッテリー電圧が低くなるといわゆる急速充電をしてくれるため、短距離走行に適した車といえるでしょう。ですが、低電圧が続くとバッテリーが痛むという特性自体は変わっていません。

充電制御車用バッテリーの平均使用寿命は2〜3年とされますが、車とバッテリーの使い方次第でより長く使うこともできます。

また突然のバッテリー上がりを避けるには、バッテリー性能が低下した前兆を見逃さないことも大切です。

「エンジンのかかりが悪い」「パワーウインドウの動きが遅くなった」「バッテリー上部や端子に白や緑の粉が付着している」などの症状は、充電制御車用バッテリーでも変わらないバッテリー劣化の典型的なサインです。

以上の症状に気づいた場合は、早めにバッテリーの点検をしてもらうとよいでしょう。

(鈴木 僚太[ピーコックブルー])