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■山脈と雪が多い地帯に初の「日本横断」新幹線
1982(昭和58)年11月15日、東海道、山陽、東北新幹線に続く4番目の新幹線として、上越新幹線が開通しました。
新潟~大宮間を結ぶ上越新幹線は、日本本州の三国山脈を横断するため約40%がトンネルであり、また豪雪地帯を運行するため自動散水システムなど雪害対策が装備されているのが特徴です。
●東海道、山陽、東北新幹線に続く4番目の新幹線
日本初の東海道新幹線(東京~大阪)が開業したのは、1964年10月1日、東京オリンピックの開会式10月10日の直前でした。オリンピックで多くの外国人が日本を訪れたときに、世界初の高速電車として誇示する目的もありました。最高速度は210km/hで所要時間は4時間でした。
1972年3月15日に山陽新幹線(大阪~岡山)が、1982年6月23日に東北新幹線(大宮~盛岡)が開業し、上越新幹線が4番目の開業となります。
1960年代の日本は世界でも類を見ない高度経済成長期。それを支える交通網の整備は必須であり、新幹線など鉄道の整備やモータリゼーションに伴う高速道路など道路網の整備が急ピッチで行われたのです。
●大山脈と豪雪を乗り越え、日本を横断する上越新幹線
1982年に上越新幹線が新潟~大宮間で開業(運行距離333.9km、所要時間2時間10分)、200系「あさひ」と「とき」が運行を始めました。その後、1985年に上野~大宮間が、1991年に東京~上野間が開業し、上越新幹線は東京駅への直通運転を開始しました。
上越新幹線の最大の特徴は、他のすべての新幹線が日本を縦断するのに対して、上越新幹線は日本を横断する新幹線だということ。群馬県と新潟県の県境を挟む区間は、日本本州の三国山脈を横断するため、大清水トンネルなど多くの区間がトンネルです。
また、新潟県内は日本有数の豪雪地帯なので、スプリンクラーによる融雪設備を備える他、新潟県内の駅では線路やプラットホーム全体を屋根で覆うなど、雪害対策が施されています。
開業当時の最高速度は210km/hでしたが、1988年に240km/hへ引き上げられ、1990年には大清水トンネルの限定区間(下り坂)で275km/hの運行を始めましたが、1999年に再び240km/hに引き下げられました。
●新幹線はなぜ速いのか
東海道新幹線を例に上げると、1964年の開業時は最高速度210km/hで、東京~大阪間の所要時間は4時間でした。2023年現在は最高速度285km/hで所要時間2時間21分に短縮されています。
大幅な性能改善は、モーターのパワーアップや流線形フォルムによる空力の改善、軽量化、エネルギー回生ブレーキ制御などで、車の走行性能や省エネ手法と全く同じ手法が採用されています。現在の新幹線の最高速度は東北新幹線の320km/h(宇都宮~盛岡)です。
ただし、これが限界というわけでなく、試験車両では1995年に443km/hを記録しており、現在も東北新幹線は400km/hの営業運転を目指しているとのこと。さらに、リニア中央新幹線が開通すれば、最高速度は505km/hに達する計画です。
ちなみに、F1の最速記録は2005年イタリアGPでコロンビア出身のファン・パブロ・モントーヤが記録した372.6km/hで、これがF1史上最速記録とされています。さらに、2005年にホンダBARがプロジェクトマシンBAR007で、413.205km/hを記録したそうです。
現在の新幹線にはF1で採用されているアクティブサスペンションが採用されています。新幹線とF1マシン、全く違うように見えますが、速さを目指すという共通の目標のため、結構同じような技術が採用されています。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれません。
(Mr.ソラン)